サロンメンバーから質問がありましたので、シェアしたいと思います。
<質問内容>
脳卒中患者に対して後方介助や側方介助での歩行について知りたいです。どんな基準で後方あるいは側方介助で行うか
といった内容の質問でした。
とても良い質問、というか視点が面白いですよね。
確かに介助方法って何気なく症状や人に合わせて変えていますが、「このレベルの人には側方介助でサポートしよう」などと、基準について考えることは、あまりないかと思います。
麻痺のレベルに応じて推奨されている介助方法があるのか、私も知らなかったので、調べてみました。
結論から言うと、麻痺のレベルに応じた介助方法の明確な基準はなさそうです。
※あくまで私が調べた範囲ですので、もしかしたらあるのかもしれないですが。。見つけた方は教えてください。
麻痺のレベルに応じた介助方法の基準はなさそうですが、視点を少し変えてみたいと思います。
「側方介助と後方介助どちらの介助方法が歩行機能の向上に繋がるか」
明らかに重度麻痺の方に対して歩行介助する場合は後方介助になってしまうかもしれませんが、軽度~中等度レベルの方に対して、側方から介助するべきなのか、後方から介助するべきなのか、手はどこに置けばよいのか、など、気になるところですよね。
しかし、これに関しても「この介助方法が望ましい」という方法は見つけられませんでしたが、いくつか見つけた知見をシェアしたいと思います。
こちらは口述発表になります
下肢Ⅱレベルの1症例に対して、T-supportという歩行補助具を装着した条件下で、「側方・後方の介助方法の違いにより歩行に関わる運動学的機能と神経学的機能に違いが生じるか」について研究した内容になっています。
この研究の結論としては、「側方介助の方が後方介助に比べて歩行速度や歩幅が増大し、麻痺側の内側腓腹筋の筋活動が向上した」とされています。
しかし、ここでの側方介助は、両側から2名で介助しているので、臨床的には応用し難い部分もあるかと思います。
脳卒中後の歩行機能を考えたときに、「歩行速度」は一つポイントになってくるかと思います。
歩行速度は歩行能力や転倒リスクに関連すると言われており、訓練でも歩行FASTトレーニングが推奨されています。トレッドミルなんかがいい例ですよね。
また、こちらを見てみると3動作歩行よりは2動作歩行の方が麻痺側下肢筋活動を促すという報告があります。
これらを踏まえると、歩行訓練においては、「歩行速度を高めるようなリズミカルな2動作歩行」歩行能力の向上に関与しそうだと言えるかと思います。
そうすると、側方介助よりは後方介助の方が推進力を持たせることができそうなので、後方からの介助は有効ではないかと個人的には思うところです。
つらつら書きましたが、まとめます!
側方介助と後方介助のどちらが良いかは明確ではないですが、これらの知識を踏まえつつ、対象者のレベルに合わせて使い分けるのが良いかと思います。
手技やハンドリングと一緒で介助もスキルや経験が必要なものだと思います。まずは、転倒などのリスクに注意しながら、少しずつ治療的な視点で介助が出来るようになるといいですよね。
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