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執筆者の写真リハビリスクエア【リハスク】

脊椎の評価方法①~全体像の把握~

何回かに分けて、脊椎の評価方法について書いていきます。


脊椎は椎間関節が頸部から腰部まで25個あり、さらに骨盤は仙腸関節があるため、四肢の関節と比べると、なかなか一つ一つ関節の動きを評価することが難しいかと思います。


関節の可動範囲も小さいです。

ただ、椎間関節の可動範囲が小さいと言っても不動関節ではないため、可動性が低下すれば機能低下に繋がります。


機能低下が頸部で生じれば頸部痛の原因になりますし、胸部で生じれば胸郭の可動性低下が生じ、そこから肩甲帯の可動性低下なども生じます。また腰部で生じれば椎間関節性の腰痛などが生じる可能性が出てきます。


なので、椎間関節の触診と可動性評価は理解しておくと臨床上有用になります。


【椎間関節の可動域】


まずは、椎間関節がそれぞれ、どの程度可動域があるものなのかを大まかに知っておくと良いです。


(Neumann DA:kinesiology of the Musculoskeletal System. 3rd edition,2016より引用)



これを見ると、


例えば、頸椎はC1-C2間が環軸関節なので回旋可動域が非常に大きいことがわかります。

また、全体的に頸椎は矢状面の動き(屈曲/伸展)が大きいことが見てわかります。その中でもC5-6間が最も屈曲/伸展の可動域が大きいです。


胸椎は回旋のイメージが強いかもしれませんが、これを見るとそこまで回旋可動域が大きい場所はないことがわかります。

胸椎は肋骨と連結しており、全体的にどの方向に対しても可動性が低いです。そのため、一つ一つの関節が連動して動くことで初めて胸郭の十分な可動性に繋がると考えられます。


胸椎は下位になるにつれて屈曲/伸展範囲が大きくなります。

これは、胸椎の形状が下位に近づくにつれて徐々に腰椎に類似してくることにより、腰椎の有する特徴(すなわち屈曲/伸展の可動い範囲が大きい)を持つことになるからです。



【全体像の把握】


こういった椎間関節可動性の特徴を踏まえておき、臨床ではまず脊椎を触る前に動きの評価をすると良いと思います。


動きの評価では、頸部の屈伸、回旋、側屈、体幹の前後屈、回旋、側屈などを自動で患者さんに行ってもらいます。



この動きを見るときのポイントは、「どのあたりが一番動いていて、どのあたりがあまり動いてなさそうか」というところです。


頸部の屈伸運動を行ってもらったのであれば、「頸椎の何番目あたりが一番動いていて、どのあたりが動いていないか」という部分を観察するということになります。



結構慣れるまで難しいので最初は大まかでも良いです。

体幹の動きは背中を直に見れるとより分かりやすくはなります。




動きを見るということは、モーターコントロールを見ているということになります。


つまり”動かし方”ですね。


例えば、頸部の伸展運動の際に「中部頸椎あたりが良く動いて見えるが、頸胸移行部あたりがあまり動いていない」と観察できたとします。


しかし、実際に触診をして頸胸移行部の可動性を確認したところ明らかなfixationがなく、可動性が保持されていたとします(触診の方法はまた次回以降説明します)。


この場合、『頸胸移行部は可動域の問題はないがモーターコントロール上問題がありそう』


という仮説が立ちます。


可動域の問題なのか、モーターコントロールの問題なのかでアプローチ方法は全く変わってきます。


可動域に問題があれば筋や関節が原因組織なのでモビライゼーションや筋への徒手的介入が有効です。


一方、モーターコントロールは”動かし方”なので、運動学習や神経ー筋の部分に原因があることになります。そのため、動いていない部位に意識を向けさせながら運動療法を実施しなければ解決されません。



最初の段階で動きの評価をしておくと、問題がありそうな椎間関節を触診すればよいので、一つ一つすべての椎間関節を触る必要もなくなります。



まずは、動きから脊椎の全体像を評価して触診に繋げてみましょう!



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