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痙縮について


痙縮に関しては、まだまだ明らかになっていない事も多いですが、現時点での報告などを整理していきたいと思います。


<痙縮とは>


痙縮の定義は近年変化してきています。


以前は「伸張反射の相対的亢進により生じる筋伸張速度に依存した受動運動に対する抵抗の増大」(Lance JW, 1980)


このように言われていました。



しかし、近年では「上位運動ニューロン病変により,間欠的または持続する不随意な筋活動をきたす感覚-運動制御の障害」(Panyan AD, 2005)


このように言われています。


簡潔にまとめると上位運動ニューロンのインバランスにより痙縮が生じているという事になります。


このように、定義自体が変化し研究も進められていますが、様々な要因が痙縮には関与していることがわかってきています。


一つは筋紡錘に関してです。


<痙縮の要因~筋紡錘の問題~>


以下、報告を列挙します。


・不動による筋紡錘の反応性の増加は,伸張反射を増加させ最終的に痙縮を増悪させる(Gioux M, 1993)


・脳卒中患者と健常者の間に筋紡錘の発射頻度の有意な差はみられない(Wilson LR, 1999)


・「痙縮の病因には,結合組織のスティフネスによる筋紡錘の反応性の増加が関与しており,錐外筋線維の異常なフィードバック・フィードフォワ―ドが起因している」(Mukherjee A, 2010)



・不動による拘縮の予防が最も重要であるとして,関節可動域練習や臥位や座位時のポジショニングなどをシステマティックに行うべき(Trompetto C, 2014)


否定的な報告もありますが、一つの可能性として筋紡錘の粘性低下が感度を高め痙縮の発生に関与していることが示唆されています。



痙縮は上位運動ニューロンの障害により生じるわけですが、二次的な不動や廃用による結合組織のスティフネスが筋紡錘に変化をもたらし助長させているという解釈で良いかと思います。


こう考えると、痙縮の軽減という意味では筋や関節といった末梢レベルにアプローチする事は重要であるかもしれません。


特に急性期から生活期を見据えて末梢を良い状態に保っておくことは、リハビリを進める上で重要な視点ではないかと個人的には感じます。



<痙縮の要因~下行性神経による問題~>


続いて、中枢レベルにおける要因について書いていきます。


以下の記事は2015年に報告されたLiらの論文に基づいています。


フリーで読めるので、添付しておきますね。









上の図を解説していきます。


まず、この図を見ると脳から脊髄に向けて神経路がいくつか下行してきており、「intraspinal network:脊髄内反射回路」の上に(+)、(-)が記されています。


(+)は興奮性を(-)は抑制性の働きを持ちます。


辿っていくと”橋網様体”と”外側前庭核”から下行したした神経経路は脊髄を興奮性に働かせて、延髄網様体から下行した神経路は脊髄を抑制性に働かせているということがわかります。



さらに上を見てみると、大脳皮質から2つの神経路「皮質脊髄路」と「皮質網様体路」が出ています。


皮質脊髄路はいわゆる錐体路なので4野から出る運動神経ですね。


皮質網様体路は皮質の6野(補足運動野)から出て網様体に至る神経路で、皮質脊髄路と並走して下行することがわかってきています。



また図を見てもらうと、皮質網様体路から延髄網様体に繋がるところで(+)と書かれています。


つまり、皮質網様体路は延髄網様体を興奮性に働かせ、延髄網様体は脊髄を抑制性に働かせているということになります。



例えば、内包や放線冠などの脳梗塞が起きたと仮定します。図のところの×の部分です。


皮質脊髄路と皮質網様体路は並走しているので、多くの場合同時に障害を受けます。


すると、皮質網様体路から延髄網様体路に対する興奮性の働きが低下します。延髄網様体の機能低下が生じると、延髄網様体が脊髄に対して抑制性に働いていた機能も低下します。


すると、脊髄レベルでは抑制が効かなくなる、つまり脱抑制が起きて興奮性のみの神経機能が増大します。


これが痙縮の一因ではないかということになります。




まとめると、神経の興奮と抑制のバランスが崩れたことにより痙縮に大きく関わっているということになります。



まだまだ、明らかになっていない事も多いですが、興味深い内容ですよね。


臨床場面では、体幹の賦活や姿勢制御の関りにより痙縮が一時的に軽減するという経験をすることがあります。


姿勢制御は皮質網様体路が関与しますので、もしかすると姿勢の安定化により上記システムに何かしらの影響を与えて痙縮が抑制されているのかもしれません。



今回は痙縮の要因について、末梢と中枢の視点から考えてみました。


また、新たな知見など内容のアップデートができたら共有しますね







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