今回は、片麻痺の方に対するタブレットを用いた指の訓練方法の臨床アイデアをシェアしたいと思います。
手指の訓練では、様々な物品を用いることが多いかと思います。
例えば示指の屈伸運動や外転の運動を促す際、写真のようにおはじきを使い、動きを促すなどの介入を行うことがあるかと思います。
しかし、先日介入した患者様では、指に意識を向けすぎると力が過剰に入ってしまい、逆に痙縮が強まりやすくなるという特徴をお持ちでした。
このような方は少なくないかと思います。
このような場合、課題指向訓練など、課題に着目させた介入を実施するという選択もありますが、随意性のレベル的に課題指向訓練を積極的に実施する段階ではない方の場合、介入方法に困ることがあります。
こういったケースの介入方法として、以下に紹介するタブレットを用いた訓練を参考にしていただければと思います。
【必要物品】
・モニター(プロジェクター)
・タッチパネルタイプのパソコン(surfaceなど)or ipad
・箱
・パウダー(100均のフェイスパウダー)
【方法】
①モニター(プロジェクター)にパソコンor ipadを繋いで映す
②手書きソフトを立ちあげる
※surfaceなら「ONENOTE」、ipadなら「フリーボード」など。エクセルを開いて手書き
描写の設定にしても良いと思います。
③麻痺手をタッチパネルの上に置き、指を動かすよう指示
※この時、滑りやすくなるように指にパウダーをつけると良いと思います
④箱あるいは何かしらの仕切りを患者様の前に置き、麻痺手を見ないように環境設定
⑤モニター画面を見ながら、指を動かすよう指示。
この訓練のポイントとしては、視覚的に直接指に意識を向けるのではなく、モニターを通して指の動きをフィードバックするという点になります。
こうすることで、過剰な力が抜けた状態で指の運動を促せるケースがいらっしゃいます。
運動の予測と結果を一致させることは、運動回復のための一つの重要な要素になりますが、「動かそう動かそう」と思うことで、逆に動かしたい方向とは反対方向に力が入り、期待している運動と結果がずれてしまうというケースが片麻痺の方には多く見られます。
視覚的に指を認識させながら運動を実施した方が運動を生じやすいケースもいれば、今回のケースのように逆の方もいらっしゃいます。
その方に適した方法を提案できればと思います。
モニターなどの用意が難しいかもしれませんが、参考になれば幸いです!
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