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課題指向型訓練の実践とポイント


課題指向型訓練(task-oriented trainig:TOT)は脳卒中に対するアプローチとして推奨されている介入の一つであり、CI療法の重要なコンポーネントの一つとされています。


有名ではあるものの、明確なプロトコルやマニュアルがあるわけではないので、どのような点を注意して実施すべきか悩むことも多いかと思います。


今回は課題指向型訓練を実施する上でのポイントについて説明していきたいと思います。


まず、課題指向型訓練には『shaping』と『task practice』の二つが要素として含まれます。

これらについて説明していきたいと思います。



◎shapingとは

-手段的に作業を利用

-細かく連続的な難易度調整により目標とする運動(動作)を達成する

-物品を用いて不足している関節運動を段階的に促す



例えば、片麻痺により随意性が低下した方のリハビリで、「麻痺手でコップを持ち、水が飲めるようになりたい」という目標があったとします。


この時、この動作を実現するためには、肩の屈曲、軽度外旋、肘の屈曲、前腕中間位保持、手関節背屈・橈屈、指の集団屈曲など様々な関節運動が求められます。


この中で不足している関節運動の動きを促すために、物品を用いた課題を行うことをshapingといいます。





重要なのは、細かく連続的な難易度調整という点です。

上記のように、ブロックを箱の上に置くという課題を実施する場合、肩の促したい関節の方向などに合わせて、箱の配置などを段階調整して練習をしていきます。



例えばブロックが良いのか、ペグが良いのか、お手玉が良いのか、などはその人の目標と機能に合わせて決定します。そのため、セラピストの腕の見せ所になるわけです。


◎task practiceとは

-目的的に作業を利用

-実生活の課題(動作)を通して機能向上や実用性向上を図る


shapingは必要な関節運動を促すために物品を使う訓練でしたが、それに対して、task practiceは実生活の課題を通して機能向上や実用性向上を図る方法になります。


コップを持つ、ドアを開ける、洗濯物をたたむ、などいわゆる日常生活動作の練習になります。





このshapingとtask practiceをうまく組み合わせて、課題指向型訓練を実施していくことになります。





◎課題指向型訓練のコンポーネント


ここまで、shapingとtask practiceについて解説してきましたが、課題指向型訓練全体についてTimmermansらは、必要な15のコンポーネントについて提案しています。

それが、以下になります。




この中にも、shapingのところで挙げた「難易度調整」であったり、task practiceのところで挙げた「実生活の課題(文脈固有の課題、実生活で使用する物品操作)」などが記載されています。


病院など非日常の環境下で課題指向型訓練をするときは、いかに実生活に近づけた(模擬的な)訓練課題まで実施できるかが、非常に重要になってくるかと思います。



課題指向型訓練は、対象者の分析を行い、その上で対象者に合わせた様々な課題を提案する必要があります。


このあたりは、OTが得意とする部分かもしれません。



ポイントを押さえながら実施できることが望ましいかと思います。










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