安齋です!
この記事ではSABについて少しまとめてお話しします。
それでは早速!!!!
【肩上部の痛み:肩峰下滑液包(SAB)について】
烏口肩峰靭帯、烏口突起、肩峰で構成される烏口肩峰アーチと腱板の間にある滑液包。第2肩関節の圧縮ストレスの緩和の役割があります。 肩関節屈曲運動時に生じる上腕骨の上方への転がりと肩峰下への滑り運動は、
・0~60°=pre rotational glide
・60~120°=rotational glide
・120~180°=post rotational glide
と呼ばれます。
pain full arc signで見られる現象はrotational glideまでですね。
上腕骨大結節が肩峰下に完全に滑り込むまでの運動です。この運動がうまくいかないと肩峰下インピンジメントが生じます。
三角筋や肩峰の深層に位置するため、体表から触診するのは不可能です。エコーやMRIで精査していきます。
【肩上部の痛み:肩峰下滑液包(SAB)の疼痛誘発評価①Neer test】
検査方法:肩関節内旋・下垂位の状態でセラピストが肩甲骨と前腕遠位部を持ち、肩甲骨を固定したまま肩関節内旋・屈曲運動を誘導する。
判定:疼痛発生で陽性。
評価意義:疼痛が発生すると第二肩関節に対する圧縮ストレスが生じたと考察できる。
注意点:感度が低いので注意が必要です。(感度:0.43、特異度0.74)
タイトル未設定 www.jstage.jst.go.jp
【肩上部の痛み:肩峰下滑液包(SAB)の疼痛誘発評価②Hawkins-kennedy test】
検査方法:GHjt 3rd positionから内旋を強制する。その際、肩峰の挙上を抑制する。
判定:疼痛誘発で陽性。
評価意義:3rd positionでの内旋誘導なのでrotational glide(GH屈曲角度60-120°)の肩峰下通過ができるかどうかの評価方法となります。ここを通過する際に疼痛が生じる場合はインピンジメントを考察するのはSABだけでなく腱板(棘上筋)も考慮します。
注意点:感度は0.83、特異度は0.51とされています。よって陰性である確率は低いので評価時点で陰性であってもそこで確定ではないのでしっかりとMRIやエコーをしましょう。
【評価から把握できること】
いずれの評価も1つで確定診断ができる方法ではないですが、インピンジメントの疑いを持つことができる方法です。インピンジメントが生じるのは第二肩関節です。
第二肩関節はその狭い空間の中での動きを必要とされますので、SABの肥厚や肩甲骨や上腕骨、胸郭のマルアライメントによってすぐインピンジメントが生じます。腱板の癒着や石灰化なども原因の1つになります。そうなると理学療法評価で全てを把握することは難しいのでMRIやエコーをとることが望ましいです。
基本的には理学療法評価をする前にMRI撮影をして、その画像を元に疼痛原因となる部分の特定のために理学療法評価をするのが時間短縮になると考えています。
【肩上部の痛み:肩峰下滑液包(SAB)の運動学的評価】
GHjtの上方軟部組織の拘縮や肥厚 上方軟部組織が拘縮や肥厚しているとrotational glideにおける上腕骨の滑り運動が生じにくくなりインピンジメントの原因になります。烏口上腕靭帯や上上腕関節靭帯(SGHL)などの評価が必要となります。 肩甲胸郭関節の安定性低下 肩甲骨が不安定のため、GHjtとのリズム破綻が生じてしまいます。腱板の評価をしっかりとしましょう。
それではーーー!!!
Comments