臨床において、自己効力感を高めることは、対象者の行動変容に繋げるための、一つの大きなポイントになると思います。
今回は自己効力感について、簡単に整理していきたいと思います。
【自己効力感の定義】
自己効力感(self-efficacy)とは「ある特定の成果を生み出すために必要な一連の行動を体系化し、それを遂行する能力についての信念」と定義されます(Bandura,1997)。
難しくてよくわからないですよね。。
一般的には、「目標とする行動をどの程度遂行できるか(成功に達することができるか)についての、確信の程度」と解釈されます。
もう少し整理します。
人は何か行動をすることで結果が生じます
個人→行動→結果
↑
自己効力感
この時に、目的とする結果を生み出すためには、当然それに見合った行動が必要になります。
行動が闇雲だと、期待した結果は得られないかもしれません。
そのため、適切な行動を選択する必要があり、そもそも適切な行動を選択できる力を自分が有しているかを認知する能力が必要です。
これが自己効力感です。
つまり、『何か挑戦する場面において「自分は出来る」と思える能力の根拠があるか』ということになります。
【自己効力感が得られる事による結果】
自己効力感は低いよりも高い方が良い!というのは、なんとなく誰もが感じると思います。
では、なぜ重要なのでしょうか?
自己効力感が得られると、以下のような結果が得られると考えられています。
①行動の達成(自己効力感が高い方が課題の達成率が高まる)
②努力度の向上(自己効力感が高いほど、努力する傾向が高まる)
③似た場面においても行動達成が出来る(成功体験を繰り返すことで、類似した場面でも課題達成が出来る)
④不安や恐怖感が減る(自己効力感が高い方が心理的に安定)
このような良い変化が得られるため、自己効力感は高い方が良いとされています。
【自己効力感に影響を与える4つの因子】
では、どのような要素が自己効力感に影響を与えるのでしょうか?
提唱者であるBanduraは、自己効力感に影響を与える要素として以下の4点を挙げています。
①制御体験(遂行した行動の達成)
→例)患者さんに"やってみたらできた"という体験をしてもらう
②代理経験
→例)"テレビで自分と同じ病気の人がリハビリをして回復していたから、私も良くなるはず"
③言語的説得
→例)"家族やセラピスト、医師などによる目標が達成できると思わせるような声かけ"
④生理的・情動的状態(行動に伴う身体的な反応、感情、気分など)
→例)"リハビリをしたら、身体が楽になった"
上記4つが自己効力感をあるために必要な要素として考えられています。
例にも挙げましたが、臨床ではこれらの要素を意識して関わることが望ましいと思われます。
その結果として、上に示した自己効力感による行動変化を引き起こせると、行動変容に繋がるかもしれません。
難しい概念ですが、臨床に活かせると良いですよね。
〈参加文献〉
Bandura, A. Self-efficacy: toward a unifying theory of behavioral change. Psychological review, 1977;84(2), 191-215.
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