top of page

非麻痺側の訓練は必要か


非麻痺側の訓練を皆さんは実施しているでしょうか?


当然のことながら、片麻痺などに関しては麻痺側に目が向くことになりますので、非麻痺側の訓練は後回しになる、あるいはほとんど実施しないということもあるかもしれません。



結論から言うと、「非麻痺側の訓練も実施した方が望ましい」と考えております。



その理由を以下に説明していきたいと思います。



①非麻痺側も筋力低下が生じるから


まず、急性期などで臥床期間があれば廃用として筋力低下が非麻痺側にも生じている可能性があります。

また、サルコペニアなどが影響している場合も筋力低下が生じますね。


さらに、脳卒中の場合は予測的姿勢調節と呼ばれる機能が両側性に低下する可能性が示唆されています。これは、予測的姿勢調節を支配する網様体脊髄路が両側性であることからそのように考えられています。


そのため、非麻痺側も筋力や姿勢調節機能が低下している可能性があるので、訓練した方が望ましいと言えます。





②クロスエデュケーションの視点から


クロスエデュケーションという考えが古くからあります。

これは、簡単に言えば片側の運動効果が反対側に波及するという現象です。


脳卒中だけでなく、橈骨遠位端骨折などの運動器疾患においてもこのような現象の報告がありますね。


脳卒中の場合、原則として使用依存的可塑性という概念があるので、麻痺側の積極的使用がエビデンスとしても高いですが、このクロスエデュケーションの概念を踏まえると、非麻痺側の訓練をすると、麻痺側の筋力あるいはスキルに変化が生じるということになります。


まだ機序としては明確ではないですが、片側の運動というのが、脳の両側に作用するのではないかという説が今のところ考えられています。


個人的には、半球間抑制を考えると、非麻痺側の運動を積極的に実施することで、麻痺側を支配する側の脳がより抑制されてしまうリスクがあるようにも感じます。


なので、落としどころとしては「麻痺側の積極的訓練は実施しつつ、非麻痺側の訓練も実施する」ということになるかと思っています。


ちなみに非麻痺側の訓練はどのようなものを指すのかというと、ダンベルを用いた筋力訓練、等尺性収縮訓練、ハンドエルゴを使った訓練などが挙げられています。



③バランス、歩行機能への波及効果の可能性


最後に、バランス・歩行機能への波及効果の可能性があるという点についてです。

以下の論文だと、非麻痺側の筋力訓練を実施したら、バランス機能、歩行機能、筋力が改善したというものです。


では実際、どのような訓練を実施したのか、論文をもとに示すと以下のような内容です。

・下肢はセラバンドで抵抗を加えながら、ステッピング

・上肢はセラバンドで抵抗を加えながら肘の屈曲





これも、「座位で非麻痺側訓練をしたらどうなのろう?」という疑問は生じます。

立位だと、例えば下肢の訓練に関しては、非麻痺側の筋力訓練ではあるものの、同時に麻痺側の支持性訓練にもなっていますよね。なので、麻痺側の機能が変わってバランスなどに影響したということも言えそうです。





まとめです。


まだ不明点はあるものの、現状非麻痺側の訓練を実施すると単に非麻痺側の機能向上にとどまらず、麻痺側やパフォーマンス全体へと波及した効果も得られそうということが見えてきます。



優先順位によりますが、非麻痺側への介入を再考する機会になると良いかと思います

閲覧数:81回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page