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執筆者の写真リハビリスクエア【リハスク】

膝関節伸展制限を診るためのポイント

安齋です!


さて、今回は膝関節の伸展制限について書いていきます。

伸展制限がある膝関節である患者さんはかなり多いですよね。

伸展制限が軟部組織性なのか他の組織なのか、評価をすることができれば自ずと徒手介入で改善できるのかそうでないのかがはっきりしてきます。


そんな膝関節の伸展制限について紐解いていきましょーー!



【膝関節伸展制限の原因となるポイント】

伸展制限となる部位は、


・膝蓋下脂肪体の拘縮

・内側側副靭帯の伸張性低下

・膝窩筋のタイトネス

・ハムストリングス と下腿三頭筋の癒着

・内側半月板損傷


このあたりが主な原因になってきます。



【膝蓋下脂肪体の拘縮】

膝蓋靭帯の裏に存在している軟部組織です。

大腿神経、閉鎖神経、坐骨神経など神経支配を豊富に受ける部位です。

また、疼痛受容器も多く持っているので痛みの原因組織となりやすいです。


ある米国論文では、

膝蓋下脂肪体に炎症が生じると、サブスタンスPの増加に伴う神経原性炎症が疼痛に関与している。


と報告する論文もあります。つまり、伸張ストレスによって膝蓋下脂肪体に炎症が生じると膝の前面に疼痛を引き起こす原因になります。


少し前では和訳論文では脂肪体自体に血流はないから炎症反応も起きることはないと予測される、といった報告もありましたが現在は上記の内容がEBMも持って確立されているようです。



【内側側副靭帯(MCL)の伸張性低下】


MCLは内側膝蓋支帯から縫工筋の筋膜の間に存在する大腿深筋膜である第一層、浅層線維で表層のMCLと呼ばれる第二層、後内側関節包で深層のMCLと呼ばれる第三層と呼ばれるものから構造がなっていると考えられています。
さらに、第内転筋結節から起始して、膝関節後内側部を斜走して、3つの繊維束に分岐し、脛骨の後縁、斜膝窩靭帯の近位部から後方関節包、半膜様筋腱に付着する後斜走繊維束が存在します。


MCLは、膝関節内側に広範囲に存在して、外反制動の役割を持ちます。


その制動力は、

膝関節屈曲位5°=57.4±3.5%

膝関節屈曲位25°=78.2±3.7%


と報告があります。


つまり、屈曲位25°で最大の制動力を持つと同時に、軽度屈曲位でのMCL損傷が生じやすいということです。ストレステストを行うときもこの角度でやるといいですね。


また、外旋制動機能もあります。これは膝窩筋とともにこの機能を持っています。


膝窩部の疼痛が生じている場合には、神経支配も考慮してMCLの評価もした方がいいのはこれで明確ですね!


【膝窩筋のタイトネス】


膝窩筋は膝関節の後方に存在していて、脛骨の外旋制動をMCLと一緒に担っています。


タイトネスになると内旋が強く出されてしまうので、大腿脛骨関節での円滑な動きでできなくなります。





【ハムストリングス と下腿三頭筋の癒着】

ハムストリングスと下腿三頭筋は、内側と外側でそれぞれ付着部分が交差します。

それゆえに何らかのストレスにより筋間が癒着し、動きの制限に繋がるケースが多いです。


特に、

半膜様筋停止部ー腓腹筋内側頭


こちらが癒着しやすいポイントとなります。


【内側半月板損傷】


外側半月板損傷でも膝関節の動きは制限がかかりますが、今回はより頻度の多い内側半月板について記載します!


内側半月板は膝関節のクッション機能です。何らかの原因で、圧縮ストレスなどが継続的にかかることで半月板の形態が摩耗して変わると膝関節の円滑な動きができなくなります。

内側半月板の機能として、

・大腿脛骨関節の適合性向上

・屈曲時の後方移動による挟み込み防止


この2つが主な作用です。


半膜様筋が付着し、膝関節の屈曲に伴い半膜様筋により引き出しがあるので円滑な動きでできるようになります。


つまり、半膜様筋が機能不全を起こすと内側半月板への圧縮ストレスがかかりやすくなるということです。



【まとめ】


いかがだったでしょうか。


伸展制限だけでも多くの評価をする必要があります。それだけ複雑な構造になっているということを知ってもらえたら幸いです!



それではーーー!!!

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