今日は感情についてです!!
感情ってどんな種類がありますか?と聞かれると、なかなか答える事難しいですよね。
感情について理解を深めることは臨床でも役立ちます!
知っている人もいるかもしれませんが、感情の輪(Wheel of Emotions)というものがあります。これは、1980年にロバート・プルチック(R.Plutchik)が提唱した感情の立体モデルのことです。
検索するとこの様な図が良く出てきますが、ちょっと分かりにくいので説明していきます。
まず、プルチックはベースとなる8つの基本感情があると考えました。
joy(喜び)
trust(信頼)
fear(恐れ)
surprise(驚き)
sadness(悲しみ)
disgust(嫌悪)
anger(怒り)
anticipation(期待)
図で見ると、言葉が書かれている3層のレイヤーのうちの真ん中にあたる部分になります。
この8つの基本感情には強度があり、図の3層のレイヤーは感情の強度を表します。
感情の強さは外側から中央に向かって強くなります。
恍惚 > 喜び > 平穏
敬愛 > 信頼 > 容認
恐怖 > 恐れ > 不安
驚嘆 > 驚き > 放心
悲嘆 > 悲しみ > 哀愁
強い嫌悪 > 嫌悪 > 退屈(うんざり)
激怒 > 怒り >苛立ち
警戒 > 期待 >関心
こんな感じですね。
色の薄い外のレイヤーに行くほど強度が弱まり、色が濃い真ん中のレイヤーに近い方が強い感情になるということです
立体モデルで考えると、深い方が弱い感情ということになります。
例えば”嫌悪”という感情が強まれば”強い嫌悪”すなわち”憎悪”になり、弱まれば”退屈(うんざり)”という感情になるわけです。
次に、この感情の輪からは真逆の感情について知ることが出来ます。
”喜び”の反対は”悲しみ”
”信頼”の反対は”嫌悪”
と、すぐに確認できます。
これら正反対の感情は同時に起こることがないと考えられています
そして、さらに8つの基本感情を組み合わせることで混合した新しい感情が出来上がります。
これを二次感情と呼びます
【隣接した基本感情の組み合わせ(二次感情)】
・joy(喜び)+ trust(信頼)⇒love(愛)
・trust(信頼)+ fear(恐れ)⇒submission(服従)
・fear(恐れ)+ surprise(驚き)⇒awe(畏怖)
・surprise(驚き)+ sadness(悲しみ)⇒disapproval(拒絶)
・sadness(悲しみ)+ disgust(嫌悪)⇒remorse(後悔)
・disgust(嫌悪)+ anger(怒り)⇒contempt(軽蔑)
・anger(怒り)+ anticipation(期待)⇒aggressiveness(攻撃)
・anticipation(期待)+ joy(喜び)⇒optimism(楽観)
隣接した感情同士は結び付きやすいと言われています。
さらに!
基本感情を一つおき、二つおきに組み合わせた感情もあります。
例えば、”喜び”と”恐れ”で罪悪感(一つおきの組み合わせ)
”喜び”と”驚き”で感動(二つおきの組み合わせ)
このように組み合わせると膨大で様々な感情が出来上がることがわかります。
これら基本感情をベースに組み合わされて作られた様々な感情を私たちは日々抱いているということになります。
感情の輪の面白い点として、8つの基本感情のうち、”恐れ”、”悲しみ”、”怒り”、”嫌悪”と半分を占める4つがネガティブな感情なところです。
これは、人が危険回避のためにネガティブな感情をベースに多く持っていると考えられています。
「ネガティブ思考」なんて言葉がありますが、実は人は元来ネガティブ優位思考なので、仕方ないことなのかもしれませんね。
【臨床への応用】
臨床だけでなく仕事や生活全般において、活用できる知識だと思います。
例えば、臨床では患者さんから信頼を得ることが重要とされています。
感情の輪を見てみると、”信頼”の弱い感情は”容認”です。
つまり、まず受け入れてもらうこと、認めてもらうこと、それが信頼という感情を抱いてもらうことに繋がると解釈できるかと思います。
また、漠然とした不安を抱えている人もいます。”不安”という感情は強まると”恐れ”や”恐怖”になります。
”恐れ”の感情になる手前で不安を取り除く関りが必要といえるでしょう。
さらに、攻撃は”怒り”と”期待”の組み合わせで出来ています。
クレームだったり、強い口調で怒られたりしたときは、「”期待”という感情が奥底にあって自分に攻撃しているんだ」と思えば、心が楽になるかもしれませんね。
ただ、相手が嫌がることをしてしまい、”怒り”と”嫌悪”が組み合わさると”軽蔑”になってしまうので、これは注意が必要ですね!
こういった視点も生かしていきましょう!
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