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なぜ日本では誰でも治療院を開業できるのか?

外来などでリハビリをしていると、整体や鍼灸、接骨院などにも並行して通っている方は一定数いらっしゃいます。


接骨院や鍼灸などは勿論国家資格なのですが、整体などは民間資格で誰もが独学で開業できてしまいます。

整体以外にも○○セラピーなど、色々な団体や民間資格、民間療法と呼ばれるものがあり、実に多くの人がヘルスケア業界に身を置いているわけです。


私は以前から、「なんでちゃんと勉強していない人が施術できるんだ」と常々思っていた側の人間です。


ただ色々制度などを理解をしていき、今は「上手く連携できれば」という考え方に変わっています。


この数年で自費リハビリという領域も増えてきましたよね。

理学療法・作業療法はご存じの通り医師の指示の下実施することが定められているため、”整体院”という形で開業する人が多いです。


これが良いか悪いか議論するつもりはないですが、なぜ整体院という形だと自費リハビリが問題にならずに運営できるかは知っておくと良いかと思います。


ということで、今日は、少し制度的な話をしていきます。



<医業類似行為について>

まず、医業類似行為について説明する必要があります。

”医業”とは「業として医療行為を行うこと」です。


医師法には以下のように記載されています

医師でなければ医業をなしてはならない(医師法第17条)

つまり、医師のみに認められていることです。 (ちなみに歯科医師は歯科医師法の中で「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない」と規定されています)

では、医業類似行為とはなんなのか?


医業類似行為について明確な定義が見つけられないのですが、判例がありますので、それを見てみるとこのように記載があります

医業類似行為とは『疾病の治療又は保険の目的を以て光熱器械、器具その他の物を使用し若しくは応用し又は四肢若しくは精神作用を利用して施術する行為であって他の法令において認められた資格を有する者が、その範囲内でなす診療又は施術ではないもの』 (仙台高裁 昭和29年6月29日判決)より

要約すると、「医業類似行為とは、健康保持や疾病予防などの目的で行われる施術行為だが、その範囲は医師や歯科医師などそれぞれの法令のもと行われる業務範囲以外である」 こんな感じになるかと思います。


さらに医業類似行為は『法的な資格制度があるもの』と『法的な資格制度があるもの』の二つに大別されます。


『法的な資格制度があるもの』の中に含まれるのは、あん摩マッサージ指圧、柔道整復、鍼灸などです。

一方、『法的な資格制度がないもの』の中に含まれるのは、整体、カイロプラクティック、アロマセラピー、気功などです。

あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、鍼灸師は法的資格制度があるので、国家資格を取得していますよね。なので、『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師などに関する法律』『柔道整復師法』というものがあります。


一方で、法的資格のない整体、カイロプラクティック、気功などは法律はないということになります。


これだけ見ると、医療類似行為の中でも法的な資格制度がない整体、カイロプラクティック、アロマ、気功は「やっぱり怪しい!」という印象を持ってしまうかと思います。

では、法的資格がない整体やカイロプラクティック、気功、リラクゼーション関連サロンなどは違法行為なのでしょうか?



応えはNOです。

合法です。


<なぜ民間療法は合法なのか>

では、なぜ合法なのでしょうか。


これには、1960年の最高裁判決が関わっていると言われています。


「医業類似行為において人体に危害を及ぼす恐れがない場合は禁止処罰の対象とはならない」

有効無害であれば、憲法22条における職業選択の自由の観点から取り締まることができないということなのです。


法制化されていない整体やカイロプラクティックなどが存在出来ている理由はこの1960年の最高裁判決結果によるものです

つまり、”人体に影響を及ぼさない施術は法律で禁止されない”ということになります。 この最高裁判決が現在誰もが簡単に施術家として開業することが出来る背景に繋がっています。



この背景により、恩恵を受けている人はたくさんいると思います。


例えば、施術側の人々。 「人の役に立ちたい」「人の健康に寄与したい」などと思い、独立開業して治療院を始めることが誰にでもできます。


理学療法士や作業療法士であっても、その資格を生かした上で整体院という形で開業することは可能なわけです。


一方消費者にとっても、施術を受けて自分の身体が良い方向へ改善できれば、やはりプラスと言えるでしょう。

しかし、一方で危険もあります。 知識や技術が不十分な人々が開業して人の身体に触ることは消費者側からしたら直接的なリスクを被る可能性があります。 これは有資格者であっても当てはまることです。理学療法士や作業療法士は身体に関する知識は豊富かもしれませんが、診断学などを学んでいないですし、どんな症状でも見れる、対応できる、施術できる、ということは決してないわけです。

もし、仮に有資格者が問題を起こせば、業界全体にも影響を与えかねません。

この最高裁判決をもう一度見て頂くと、「人体に危害を及ぼす恐れがない」と書いてあります。 人体に危害が及ぼす可能性が高いと判断されれば、法律で禁止される日が来るかもしれません。

誰でも開業できることはデメリットもかなり含んでいるという事実を頭に入れておく必要があります。



<まとめ>

今回は、「なぜ日本では誰でも治療院を開業できるのか」というテーマで書いていきました。 繰り返しになりますが、近年、理学療法士や作業療法士の自費開業も増えています。

今までは病院や施設勤務だった理学療法士や作業療法士が開業するようになれば、ますます治療院と呼ばれる場所が地域の中で増えていくことになります。


施術者側は、法律に抵触しない範囲で自分たちの出来るサービスを提供していかなければなりませんし、施術を受ける消費者側は、しっかりと選択することが必要となってくると思います。

病院やクリニック、介護保険分野で働いていても、担当患者が色々な施術を受けているケースは少なくないはずです。このような時に、ただ否定するのではなくお互いを知り、連携なんかまで取れるようになると、より良い社会になりますよね。

まさに玉石混交の状態ですが、その中でも一人の業界人として自分の関わる領域の発展に貢献したいですし、新たな発展ができるようにしていきたいものです。


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