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運動器疾患と脳機能

近年筋骨格系疾患においても、脳に対するアプローチが重要という報告が様々な疾患で散見されます。


筋骨格系疾患(musculoskeletal disorders:MSD)は局所的に起こる構造・機能・生物学的な異常によって起こるとこれまでは考えられてきました。


そのため、従来のMSDの治療は局所的な問題部位やアライメントなど構造面に対して治療を行うものが多かったです。


今も運動器疾患に対してはバイオメカニクスや疾患特有のプロトコルに沿って治療を進めていく事が主だと思います。


この視点は当然必要なものですが、近年では、これに加えて中枢神経における神経可塑性によって生じる構造・機能的な変化が、特に慢性的なMSDの病態生理学において重大だということが指摘され始めています。


臨床でも「局所的な問題が解決されているはずなのに痛みが継続している」などの場面はよく目にするかと思います。



例えば、ACL損傷の場合、


断裂した靭帯からの体性感覚信号の喪失

痛み、腫れ、および炎症に関連する侵害受容器の活動の増加

中枢神経系への求心性入力が遮断(低下)する

求心性神経情報の混乱と傷害による関節の不安定性、筋萎縮、および運動補償が組み合わさり、視覚を優位とした運動制御の適応を促進する


このような流れが考えられており、


それに対して、


・視覚遮断を行い体性感覚や前庭感覚の重みづけを増やす戦略


・視覚運動トレーニングを行い、視覚の処理機能をより高める(視覚機能のキャパを広げることで、視覚の過剰なフィードバックに適応する)


こういった視点の介入の有効性を伝える報告があります


参考:GroomsD, AppelbaumG,OnateJ.NeuroplasIcity Following Anterior Cruciate Ligament Injury:A Framework for Visual-Motor Training Approaches in RehabilitaIon. Journal of Orthopaedic& Sports Physical Therapy,2015




特に視覚に対するアプローチは脳卒中や脳震盪などの疾患でも有効性が報告されてきているので、またこの辺りはどこかで書いていきたいと思います。



運動器でも局所的な問題のみへのアプローチではなく、中枢神経へのアプローチも意識していきましょう!



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