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訪問看護人員基準問題について考えてみる~後編~

さて、後編です


前編では現在話題になっている訪問看護人員基準問題に関する概要と、これまでの訪問看護の流れなどについて簡単に説明していきました。


訪問看護のサービス受給者数は年々増えており、訪問看護からのリハビリテーションは社会的需要が高いことが、現場にいても感じます。


しかし、制度的にはあくまで看護の一環なので、看護師体制を強化していく方に舵が切られようとしています。



感情的な部分だけで言えば、「国は現場を分かっていない」「リハビリにより救われている人はたくさんいるのに、リハビリが評価されなくて残念」と言いたいところですが、ここで、少し視点を変えてみたいと思います。



果たして本当に訪問によるリハビリが対象者の利益に繋がっているのでしょうか?



例えば、社会参加支援加算というものがあります。


これは、平成27年度に新設されたアウトカム評価の加算になります



社会参加支援加算は、リハビリテーションをすることにより、ADLやIADLが向上することにより、家庭内での家事や社会への参加ができるようになり、他のサービスに移行できた場合に算定できる加算のことです。


ここで言うリハビリテーションとは、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションを指しますので訪問看護は含まれません。



細かい算定条件や算定単位に関してはここでは説明を割愛しますが、簡単に言えば、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションの利用者様が卒業して他のサービスに移行出来たり、自立したことに対して加算がされるというものです。



これすごく良いですよね。


生活期のリハビリは訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問看護からのリハビリも含めて、どうしてもアウトカムを積極的に出さずに、漫然と提供してしまいがちな風潮があります。


だらだらと提供しないで、しっかりと卒業に導ければ加算が出るということですので、面白い加算だと個人的に思っています。



では、現状はどうなのでしょうか




上の図は社会参加支援加算届出等の状況について示しものになります(H28年度調査)



これを見ると、訪問リハビリ事業所で社会参加支援加算を届出している事業所は19.2%(n=878)


少ないですよね。。



また、届出しない理由には、

●利用者のADL、IADLの向上が進まず通所介護に移行できない

●利用者のリハビリテーションゴールが社会参加になっていない


このような答えが多くなっています。


特に2つ目の「利用者のリハビリテーションゴールが社会参加になっていない」という理由は重要ですよね。



ここから示唆されることは、リハビリ効果および、目標共有、ゴール設定が不十分である事業所が多いということだと思います


勿論、継続して訪問リハビリや通所リハビリサービスを使い続ける必要がある人が居ることも忘れてはなりません


しかし、社会参加に繋げる意識が低いままサービスを提供してしまっていては、やはり今回の訪問看護人員配置問題のように、国から規制がかけられたり、リハビリの立場が低くなってしまう事は致し方ないようにも思えるのです。



今回の訪問看護人員配置問題は、訪問看護の領域のみに関わらず、学ぶべき点、これから変えていくべき点が明らかになった良い機会だったようにも思えます。


私も生活期に関わる一人として、自戒を込めてになりますが、本質を求めて日々仕事をしていきたいものですよね。



では、今日はこの辺りで!




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