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ニーリングを用いた予測的姿勢調節への介入方法案


予測的姿勢調節(先行性随伴性姿勢調節:以下APAs)とは、運動に先行する姿勢制御システムのことです。

あくまで、私見になりますが臨床の参考にしてみてください





このAPAsに関しては、様々な論文が出ており、脳卒中などの疾患においても運動機能を高める際にとても重要な考えではありますが、「どんな介入をすればAPAsの機能が高まるかのか」といった具体的介入方法に関しては、明らかではありません(おそらく)。



バランスの評価方法の一つに”BESTest”というものがあります。


この評価法は、バランス機能を構成する要素について一つずつ評価を行うものなのですが、その中の構成要素の一つに「予測的姿勢調節」というのがあります。


BESTestにおける予測的姿勢調節の評価項目には①起立➁つま先立ち③片足立ち④交互での段差タッチ⑤立位での上肢挙上があります。


なので、これらの動きを評価し介入に繋げるというのもAPAsに対する介入案として挙げられるかと思います。



他の方法として、私が臨床で応用している方法として”ニーリング”がありますので、今回はその紹介をしたいと思います。



その前にまずはAPAsのポイントについて押さえておきましょう。


APAsはよく上肢の運動を考える際に重要視されます。


これは、「上肢を挙上すると主動筋に先行して姿勢保持筋が働く」という研究報告が多いからだと思います。


しかし、ここで注意しなければならないことがあります。


それは、臥位でも座位でも姿勢に関係なく上肢を挙上すれば、主動筋に先行して姿勢保持筋が働くのか?という点です。



色々な報告を見ていると、上肢の挙上運動において先行してAPAsが働くには大きく2つポイントがあると考えられます


①素早い上肢挙上である事

➁座位よりも立位など不安定な姿勢である事



上記に示したBalen’kiiらの報告の中にも「安静立位で」「できるだけ速く」と記載があります。


上肢挙上に伴い生じるであろう重心動揺に対応するため、先行して姿勢保持筋が働くというシステムなので、ゆっくりとした上肢挙上や安定した姿勢下での上肢挙上では先行して姿勢を調節する意味があまりないということになります。


上記2つのポイントを踏まえると、「立位で素早い上肢挙上の運動を引き出す」という介入案が浮かびますが、もう一つAPAsの特徴を踏まえ介入に繋げたいと思います。



APAsには補足運動野、運動前野などの脳領域の関与が認められており、網様体脊髄路という錐体外路系によりコントロールされています。


そして網様体脊髄路は外側皮質脊髄路(いわゆる錐体路)が主に手など遠位を支配しているのに対し、体幹や四肢近位部の筋緊張調整などに関与していると考えられています。



つまり、APAsの機能を高めるためには、近位部や体幹機能の働きを高めることも必要


ということになります。




これらの特徴を踏まえ、二―リングを用いた運動を私は臨床で使うことがあります。


ニーリングは立位と比べ、足底からの情報がオフされ、股関節でのコントロールを求められます。


試していただくとよくわかりますが、立位で上肢を挙上するよりもニーリングで上肢挙上した方が随意性が低下するケースがいます。


これは、股関節・体幹での姿勢制御が不安定なことにより、上肢もバランス制御の一つに加わり。結果として上肢の自由度が減少していることが要因として考えられます。


この場合は、まずニーリングでの静的安定性を高め、その後に上肢挙上に伴う姿勢調節の安定性を高めていく事が必要となります。


【ステップ1】ニーリングでの姿勢保持



この写真では、麻痺側(BRS下肢Ⅳレベル)の下にバランスディスクを置いています、このケースは非麻痺側(右)の方も股関節の不安定性が高かったため、まずは非麻痺側での荷重コントロールができるよう、このようなセッティングをしています。



【ステップ2】ニーリングでの静的安定性限界の拡大


股関節で安定性を保ったまま、頸部の回旋。動揺は強くなるのでそれを制御して頂く。



【ステップ3】ニーリングでの上肢挙上




静的安定性が向上した羅、上肢挙上を自動介助で実施。この時の上肢挙上は素早く行う


 ※写真の掲載許可有り





あくまで一案ではありますが、網様体脊髄路に影響が生じているケースなどでは、立位での介入と比べニーリングでは重心動揺が顕著にみられる症例が多いので、観察しやすいという特徴もあるかと思います。



まだわからない事も多いAPAsについてですが、参考にしてみて下さい。










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