今回は、腹横筋について。
腹横筋は言わずと知れた、”コアスタビリティ”に関わる体幹筋の要です。
腹横筋は3層構造に分けられ、筋繊維の走行が異なると言われています(Urquhartら,
2005)
・肋軟骨部(前額面上、第11肋軟骨部まで)を上部繊維
・胸腰筋膜部(矢状面上、胸郭と腸骨稜の間)を中部繊維
・骨盤部(腸骨稜より下)を下部繊維
なお、下部繊維はASISの2㎝下まで筋束が分布しており、内腹斜筋の繊維も同様と報告されています。(外腹斜筋は分布せず)
こう考えると、腹横筋と内腹斜筋は結構下方まで筋が走行していることがわかりますよね。
Urquhartらは、腹横筋上部繊維の筋繊維束方向は水平に近く、中部・下部と下がるにつれて筋繊維束方向は下内側方向と報告しています。
これらの走行の違いなどから、腹横筋上部繊維は胸郭の安定に、中部繊維は腰椎や腹腔内の安定、下部繊維は腹腔内圧のサポート及び仙腸関節への圧力生成などに関与することが考えられています。
【臨床への応用】
腹横筋は体幹を安定させる上で重要とわかっていながらも、どのようなアプローチが有効かということに、普段悩むことが多いと思います。
腹横筋が三層に分かれ、それぞれ役割が異なるという事実は臨床のヒントになりそうです。
例えば、上部繊維は胸郭の安定に関わりますが、胸郭のアライメント自体が他の要因で崩れていれば上部繊維は働きにくいことが予想されます。
また、下部繊維に関しても骨盤アライメントの影響を受けそうですし、ASISより下方が最終付着部だという事を考えると、呼吸トレーニングやコアトレーニングを行う際、対象者にもその部分まで意識してもらう必要がありかもしれません。
以前記事にしたAPAにも関与するので、押さえておきたい筋肉ですね。
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