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執筆者の写真リハビリスクエア【リハスク】

SDMについて①~意思決定のパターン~


近年SDMに関する論文が増えており、リハビリ領域においてもその重要性が謳われ始めています。


SDMについて簡単に触れてみたいと思います。



SDMとはShared Decision Makingの略で共有意思決定(モデル)と呼ばれるものです。


National Quality Forumでは、SDMを以下のように定義しています。


「医療者と患者が協働して、個々の懸念、好み、目標、価値観に沿った情報に基づき、患者にとって最善の医療上の意思決定を行うコミュニケーションのプロセス」


SDMの定義はまだ明確なものはないと言われておりますが、概ねどの論文などを見ても同じような文言で書かれています。


言葉だけだと分かりにくいので、次の図を見ると整理がつきやすいです。



医療現場における決断(意思決定)には大きく3パターンあると考えられています。


一つ目がパターナリズムです。

これは医療者が患者に対し最善と思われる医療情報(治療に関する情報など)を提供し、最終的な意思決定も医療者が行います。


いわゆる父権主義といわれるものになります。


古い倫理観だと捉えられがちですが、現在の医療現場でもパターナリズムは見られます。日本では医師は高尚な人間で”先生”という意識が強いので、「先生にお任せしたい」という人も少なくありません。そのため、この意思決定方法はクリニックなどでも良く見られるのではないかと思います。


二つ目がインフォームド・コンセントです。

これは、医療者が患者に対して医学情報を提示し、その情報をもとに最終決定は患者が行うというものです。これは、多くの医療機関で行われており、知っている人も多いかと思います。


そして3つ目がSDMです。

SDMの特徴的な点は、医療者から患者に一方的に情報を伝えるのではなく、患者から医療者側にも情報提供がなされるという点です。この時の患者から発せられる情報提供内容としては、患者の価値観や意向、懸念事項などが挙げられます。

医療者と患者はそれぞれの情報をもとに、最善の治療方法を協働して決定していく事になります。



この3つをみていくと、協働して意思決定していくSDMが有効な気がしてきますよね。

ただ、全ての状況においてSDMが有効なわけではありません。


上記の通り、有効な治療が一択の場合や明確である場合はインフォームド・コンセントの方が有効と考えられています。例えば、緊急の手術などはそれに当てはまります。


一方、SDMが有効・推奨とされるのは有効と考えられている治療法が2つ以上ある場合や治療の選択肢が多い場合になります。


例えば、がん治療を行う際、一つ一つの治療にメリットがあればリスクもあります。この時、医療者はそれぞれの治療法の選択肢をしっかりと提示し、メリット・デメリットを伝え、その上で患者さんの価値観なども共有し決めていく方が望ましいということになります。


リハビリテーションも不確定要素の多い分野になります。運動麻痺の治療法を考える際、CI療法、課題指向訓練、電気刺激療法など様々な選択肢があり、目の前の患者さんに合わせた介入をエビデンスをもとに考えていくと思います。

このように選択肢が複数あるリハビリテーション領域においても、昨今はSDMを使うことの重要性が謳われ始めています。



今回は意思決定のパターンについて簡単に説明していきました。次回はもう少しSDMについて深堀していきます。




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