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肩関節の介入をする上で重要にしたいポイント


今回は臨床で肩関節疾患を評価・介入する際のポイントを僕なりの解釈でお伝えしていきます!

何から評価するべきか?

これって割と皆さん悩まれるところかと思います。 実際、僕も毎回初回の患者さんの評価はかなり頭使って評価しますが、そんな時に参考にしているのがこちら。




(肩関節の評価フローチャート)

どういった順番で評価を進めていけば良いかについて示したもので、ポイントは赤丸で示している「肩甲骨運動パターンの異常の有無」です。

個人的に臨床をしていても、肩甲骨の問題がほとんどの方で引っかかってくる印象が強いです。

肩甲骨についてもう少し深掘りしてみます。

「肩甲骨運動のアシストで疼痛が減るか」という項目がありますが、疼痛がなくても、可動域が拡大するか、動かしやすさが変化するかという指標で評価しても良いと思います。



肩甲骨運動パターンの異常あり




上記は各角度における肩甲骨がどのように動くかを表しており、それぞれ胸鎖関節、肩鎖関節のどちらが関与するかについて記載しています。

上記の肩甲骨運動パターンに異常がある場合は、徒手的に肩甲骨運動をアシストして疼痛や可動域に変化があるかどうかを評価します。



肩甲骨運動のアシストで疼痛が減弱しない




肩甲骨運動のアシストで疼痛が減弱しない場合、肩甲骨の異常運動は軟部組織の短縮などによる可動域制限がメインではないと考えます。

肩甲骨の固定、安定性に関与する菱形筋や僧帽筋の機能低下、あるいは、肩甲上腕関節の腱板筋群などの弱化による求心位に保持できないことを代償しての結果だと考えられます。

個人的には肩甲上腕関節の問題よりも肩甲骨の固定力不足が問題としてはよく引っかかる印象です。

なので、肩甲骨安定化を目的とした運動療法→腱板筋群の運動療法という順番で行うと反応が良いことが多いです。



肩甲骨運動のアシストで疼痛が減弱する




こちらのパターンは個人的に上記の疼痛が減弱しないパターンよりもやっかいな印象です。

何故なら、収縮のタイミングや収縮の方法の認識は人それぞれ異なりますし、それをどう導いていくのが良いのか、声掛けや徒手誘導なども人によってベストな方法は異なるからです。

個人的にはCKCのエクササイズを取り入れることが多いです。

肩関節運動は基本的にCKCですが、末端がフリーだと運動方向が一定ではないため、運動の方向、力の入れ方が分かりにくい方が多いです。

ですが、CKCなら運動方向はある程度決まっているので、力の入れ方も分かりやすく、セラピスト側も誘導しやすいというメリットがあります。

例えば、肩関節挙上時に肩甲骨挙上による代償をしてしまうよくあるパターン。

この場合は、僕はストレッチポールやバランスボールを前方に置き、それに両手を置いてもらい、前方へ突き出してもらいます。

この時、肩甲骨挙上による代償で挙上しようとしても、上手く突き出すことはできません。 なので、代償を抑制した状態で肩挙上の動きを学習することができます。

道具がない場合は四つ這いで行うのも良いと思います。




ここまでで改善されないなら


肩甲骨の安定化や腱板筋群の強化、運動学習などを行っても改善されない場合は、頚椎や胸椎の可動性、体幹筋群の強化なども視野に入れて介入していきましょう。

もしくは、肩甲骨周囲や肩甲上腕関節周囲の軟部組織の短縮がある場合もあるので、そちらの評価も行う必要があります。

そして、何より大事なのは症例毎に病態をきちっと把握しておくこと。

ここまでは肩関節疾患における評価の進め方を解説してきましたが、病態理解が前提の話です。

腱板断裂の症例でもどの筋肉が、筋肉内でもどこが、どの程度の断裂で、脂肪浸潤の程度、残存している腱板は何か、という点は理解しておかないといけません。

棘上筋、棘下筋の大断裂で棘上筋に対する腱板エクササイズをしたとして、それが果たして本当に意味のあることなのかということです。

その筋肉は機能回復が見込めるのか、見込めないならどう補うのか、補える筋肉の機能はどうか、と思考していかないといけません。

最初に病態理解をきちっとしないまま何となくリハビリを継続していて、良くなっていなかったら、お互いに消耗してしまうだけなので。

病態理解をした前提で、今回の内容を活かしていただければと思います!



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