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【脳血管障害と体幹機能】



CVAと体幹機能は特に切っても切り離せない関係性。

とは言っても、体幹機能ってそもそも評価とか難しいし

ましてやCVAの患者さんの体幹機能って本当にどうしたらいいのやら、、、、


なんて悩み、ありますよね。


そこで今回はそんなCVAと体幹機能の関係性についてコラムを進めてまいります。




《脳卒中片麻痺の体幹伸展可動域と歩行能力》



維持期脳卒中片麻痺患者12名を対象とし、体幹伸展の自動・他動可動域を計測し。さらに10m歩行テストから歩行速度、歩行率、ストライド長を算出し、検討 を行った。その結果、体幹伸展の自動可動域は、歩行速度とストライド長と強い相関関係を認めた。(藤谷 亮,他:脳卒中片麻痺の歩行能力は体幹伸展可動域と関連する,理学療法科学 33(6),947–950,2018)



自動可動域ってことは可動域+伸展筋力ってことになりますね。

(体幹伸展ROM-Tは抗重力位での測定ではないけど。)



純粋に体幹機能が良い状態って考えても良いと思います。


この報告ではCVA患者を中心に報告していますが、

おそらくこれは一般高齢者でも相関があるんじゃないかな??


屈曲固定または伸展固定となっていると回旋も側屈もできないんですよ。


つまり、選択的に体感を動かせる可動域があるってことは重要です。

ざっくり言ってしまえば体幹の伸展可動域が保たれているってことはバランスが良いってことなんですね。そりゃ歩行能力にも関係してくるよね。




《脳卒中片麻痺の体幹側屈筋力》



初発脳卒中片麻痺患者9名を対象に、端座位で麻痺側と非麻痺側方向への等尺性体幹側屈筋力を「骨盤固定なし」と「骨盤固定あり」で測定し、麻痺側と非麻痺側で比較した。その結果、「骨盤固定なし」では麻痺側筋力が非麻痺側筋力に比べ有意に低下し、股関節周囲筋の麻痺が重度な者ほどその傾向が強かった。「骨盤固定あり」 では左右差はみられなかった。脳卒中片麻痺患者における体幹筋力の左右差は骨盤の固定に働く股関節周囲筋の麻痺の影響により出現し、骨盤を他動的に固定しこの影響を小さくすることで左右差がなくなると考える。(海野 光信,他:脳卒中片麻痺患者の体幹筋力の左右差には股関節周囲筋の麻痺が影響する,理学療法科学 30(3),449–452,2015)



確かに体幹は両側性支配が強いので、著名に片側に偏った麻痺は出にくいと言われています。それを裏付ける結果と言えるかもしれないですね。



ここから逆に考えていくと、いかに股関節機能を高めていけるか?というのが体幹機能の復権には必要だということ。



股関節機能の低下によって体幹が廃用的に弱化する可能性があるのであれば、股関節機能を高めて端座位でも体幹機能をうまく使えるようにするってのが重要ってことです。



そして、これは完全に私見ですが、、、臀筋最強説があるんですよ。

臀筋ってマジで弱化しまくってるんですよ、みんな!!臀筋弱くない人いなくね??って思っています。(ちなみに私のメインのフィールドは外来リハです)



逆を返せば臀筋を鍛えれば健康的なんじゃないかな?って思うほど。股関節って重要なのは間違い無いんです

球関節で可動域も広いし、そこをしっかりとコントロールするってのは間違いなく重要なんですよ。そして、ヒップスパインシンドロームっていう言葉もある通り股関節と腰椎、体幹は関わりが深いんですよね。


《脳卒中片麻痺の脊柱起立筋の左右差》



脳卒中片麻痺患者の麻痺側及び非麻痺側における脊柱起立筋の表面筋電図を測定し、周波数解析にて両側間での筋疲労を比較した。片麻痺患者10名、健常者10名を対象とし,、脊柱起立筋等尺性収縮時における左右両側よりの表面筋電図を測定した。周波数中央値の減少率は,、健常者群・片麻痺患者群ともに左右間及び麻痺側,、非麻痺側間に有意な差は認めなかった。脳卒中片麻痺患者における脊柱起立筋の筋疲労は, 麻痺側及び非麻痺側間には必ずしも差があるとはいえないと考えられた。(中村 健,他:脳卒中片麻痺患者における脊柱起立筋筋疲労の検討 ―表面筋電図周波数解析を用いた麻痺側及び非麻痺側間の比較―,リハビリテーション医 学1999,36,195-198)



この報告もCVA後の体幹の機能に優位な左右差はないっていうことを支持していますね。

もちろんCVA後はいろんなリスクもあり、思うようにリハが進まないこともあるんですけど・・・人は良くも悪くも適応する動物なのです。つまり、使えば鍛えられるし、使わなければ衰えるんです。




ただ、片麻痺があると運動性の低下した片側上下肢に影響もあり、定型パターンに陥りやすいんですよね。そのため、筋肉の局所過剰使用ってのはよくある話です。その負担をいかに散らして、現状ある能力を的確に使用するのかっていうのはセラピストの腕の見せ所なんだと思います。


《CVAと体幹》


脳卒中片麻痺であっても著名な片側麻痺は体幹には引き起こされないとしています。


そして、体幹機能を使うためにはその土台となる骨盤・股関節の機能が重要になります。


頸部が乗っているのは体幹。そして、端座位であればそれを支えているのは股関節機能になってくるわけです。

下から整えていけば良い!という単純な話ではないんですけど、運動性を引き出すためにはどこかに安定性を確保しなきゃいけないんですね。




例えば寝返りがうまく出来ないけど、ベッド柵を把持してそこに安定性を確保できれば寝返りができたり、、、杖に関して安定性を確保する補助具ですね。闇雲に運動してりゃ良いってわけではなくて、その辺の関係性を丁寧に紐解いていく必要があるよってことです。




体幹機能ってのは四肢の運動において安定性を提供することが多いため、体幹がしっかりと機能しているってのは重要です!



CVAであれば著名な片麻痺は体幹では起きにくいため、体幹機能が廃用しないようにすることも重要ですね!(廃用予防だけでなく鍛えることも大事!)


だけど、その当たり前を丁寧に理論立てて理解すること。当たり前を丁寧に目の前の患者さんに提供していくことが大事だと思います。


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