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ストレスについて改めて理解する

「ストレス」という言葉は現代社会において日常茶飯事に使われています。

最近では、COVID-19の影響による大きなストレスが精神面に与える問題も懸念されています。 そもそもストレスって何だっけ? 今回は、ストレスについて振り返りながらまとめていきます。


ストレスとは?用語を正しく理解しよう

「ストレス」という用語はカナダのハンス・セリエ教授により1935年に「ストレス学説(ストレス理論)」として提唱され、広く使われるようになりました。 ストレスとは元々は物理学上の言葉であり、例えばゴム球を押し縮めたりした時に、その物質の内部に生じた応力の事をstress(ストレス)と表現されます。 つまり、この語源から考えると、我々が普段から使用している「ストレス」とは、「環境など外部の刺激により生体が歪められ、それに対して生体内が行う防衛的な反応(抵抗)」と解釈することができます。 日常では「仕事がストレス」「人と話すのがストレス」などといった使われ方をされていますが、ストレスを語るとき、ストレス状態を生ずる因子(ここでいう仕事や人間関係など)をストレッサーと呼び、それらの因子によって生じる生体内の状態をストレスと指します。 つまり、普段日常的に会話の中で使われる「ストレス」は正しくは「ストレッサー」のことを指していると言うことができます。


「ストレッサー」の種類について

我々は日々色々なストレッサーから刺激を受けているということになりますが、どんなものがストレッサーになるのでしょうか?ストレッサーには大きく分けて5種類あると言われています。 ①物理的ストレッサー 外傷、寒冷、騒音などのことを指します。 ②化学的ストレッサー 煙草、アルコール、薬物、食べ物などのことを指します。 ③生物的ストレッサー 花粉、有害な微生物、細菌、ウイルスなどのことを指します。 ④精神的ストレッサー 怒り、不安、緊張など情動に関わるもののことを指します。 ⑤社会的ストレッサー 職場環境、家庭環境、人間関係、生活の変化などのことを指します。

精神的ストレッサーや社会的ストレッサーはイメージがつきやすいかもしれません。しかし、これらを見てみると、社会や人間関係の間だけでストレスは生じるのではなく、暑さや寒さといった生活環境からも生じることが分かります。

今回のCOVID-19で考えてみると、生物的ストレッサーがベースに存在し、二次的に精神的ストレッサーが発生していると考えることができますね。

この様に私たちは様々なストレッサーに常にさらされているため、これらに対応する必要があります。次にストレッサーを受けた時に生じる身体の反応について解説していきます。



「ストレス」の反応分類

ハンス・セリエはストレッサーが長期にわたり生体にさらされることで、3段階の生体の反応があると提唱しました。3段階の反応は以下の通りです。 ①警告反応期 あらゆるストレッサーに耐えるための準備を整える時期のことを指します。この時期には、自律神経バランスの崩れや血圧・体温・血糖値上昇など身体に様々な変化が起こると言われています。

②抵抗期 ストレッサーと戦う時期のことを指します。 この時期は、負けないように自己防御機制が整い安定するが、非常に大きなエネルギーを消費すると言われています。対象となるストレッサーに対する抵抗力は徐々に適応し増していきますが、別のストレッサーに対する抵抗力はむしろ弱くなると考えられています。つまり、複数のストレッサーにさらされると抵抗できずに病気に陥りやすいということが言えます。

③疲憊(ひはい)期 ストレスに耐えられなくなり、疲弊してしまった時期のことを指します。 抵抗力が衰え身体が衰弱していきます。この時期にはうつ病を発症するリスクも高くなるなど精神的な不安定性が増すと言われています。疲憊期の最終段階になると、生体はまったく抵抗力を喪失して、遂には死に至るとハンス・セリエは考えました。

ストレスの種類について

ストレッサーに日々さらされながら、我々は生活しているわけですが、果たしてストレッサーは悪いものなのでしょうか? ハンス・セリエは目的達成や感謝など身体に良い影響を及ぼすストレスがあることも提唱しています。良い影響を与えるストレスをeustress(ユーストレス)と呼びます。快ストレス、良いストレスという意味です。 ユーストレスは、自分を奮い立たせてくれたり、勇気づけてくれたり、元気にしてくれたりするストレスのことです。 一方、その逆をdistress(ディストレス)と呼びます。不快ストレス、悪いストレスという意味です。 ディストレスは自分の体や心が苦しくなったり、嫌な気分になったり、やる気をなくしたりするようなストレスのことです。ストレスが良いものになるか(ユーストレス)、悪いものになるか(ディストレス)は受け止め方次第でもあります。 例えば、人前に出ることが苦手な人にとっては、学校や仕事場での発表やプレゼンテーションなど人前で話すことがディストレスとなります。しかし、元々目立つのが好きな人や人前で話すことが苦手ではない人にとっては、良い経験を積むことに繋がり、ユーストレスとなり得ます。個人の受け止め方で身体にとって良い影響を与えるか悪い影響を与えるかが変わってしまう為、付き合い方・捉え方はとても大事だということが言えます。



ストレスが身体に及ぼす影響

ストレッサーが生体に与える身体反応については先に述べました。過度なストレッサーがかかった場合、具体的には、身体にどのような影響が及ぼされるのでしょうか。

私たちが生きていくために欠かせない身体のシステムとして、ご存じの通り『自律神経』があります。自律神経は心臓や腸の動き、呼吸などの活動を調整するために、24時間常に働き続けている神経です。 自律神経には2種類あります。一つ目は交感神経と呼ばれ、交感神経は体の活動時や昼間の活動中に活発になる神経です。二つ目は副交感神経と呼ばれ、副交感神経は、安静時や夜に活発になる神経です。この2つがバランスよく保てていることが健康な状態なのですが、過度なストレス状態はこのバランスを崩します。過度なストレス状態は交感神経を優位にし、常に身体を過活動な状態、緊張状態にしています。交感神経が有意になると以下の様な反応が出ます。

・心拍数が上昇する ・血圧が上昇する ・呼吸が速くなる ・消化器の活動が抑制される ・手足の末端が冷たくなる ・血糖値が上昇する

副交感神経の活動が抑制されていることで、十分な睡眠がとれず、夜間も覚醒状態になることが多く、結果として睡眠不足を招くという悪循環にも陥りやすいです。交感神経が有意な状態が続くということは、身体がリラックス出来ていないということを意味していますので、身体にとって悪影響をもたらすということは想像に容易いかと思います。

近年では、ストレスが様々な病気を引き起こす一因と言われることも多くなってきています。交感神経が過度に優位になることで、免疫機能が低下し、様々な疾患を生じやすい危険があると言われています。 また、記憶を司る脳の「海馬」と呼ばれる部分が過度なストレスにより萎縮し、認知症を引き起こす危険なども言われています。 過度なストレスは脳梗塞の危険も高まります。交感神経が有意な状態は、血糖値を上昇させてしまうので、動脈硬化が起こりやすくなると言われています。動脈硬化は脳梗塞発症において重要な要素ですので、脳梗塞を予防する意味でもストレスからの解放は大切です。


まとめ


ストレスは悪いものという印象が強いと思いますが、人は適度なストレスがあることで、生きていると言えます しかし、現代社会は過度なストレス社会です。過度なストレッサーが常時降り注ぐ状態では、身体も心も壊してしまう危険性があります。身体を守るためには、まずは規則正しい生活を送ることを心がけることが大切です。ストレスと上手く付き合い、休息も意識して行うことで、自律神経を整えることが病気を予防し健康で長くいられる大切な要素です。

療法士や施術者側も常に健康でいられるように心がけたいですね!

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