今回の記事で膝関節強化月間の記事は終了です!
為になりましたか? 最後の記事は先日の記事に付随してお届けします。 今回の内容はTKA置換術における術前ROMを考慮した影響についてです。 多分、これについて気になる方は多いのではないでしょうか。 これを知っておくと今後のTKAに対する関わり方がガラリと変わります。 ではさっそくいきましょう! 【膝OAgradeとROM制限】 基本的にTKAは術前のROMに依存します。これは知っている方がほとんどだと思います。 依存するファクターはいくつか存在します。 ・OA gradeにより骨形態そのもの(大腿骨、脛骨)が変形している為 ・重度であるほどモーターコントロール不良になっている為 ・術中角度を設定しても術後の炎症反応やそれに伴う疼痛 この辺りが原因となります。 前回の記事では 「批判的になってしまうのですが、(中略)opeがうまく行っていないケースかと思います。」 質問に回答したものをお見せしました。 実際問題、opeが何らかのタイミングでうまくいかずに術中角度を設定したにも関わらず深屈曲がいかないケースはいくつも存在します。 設定角度まで到達できないファクターとして要因が大きいのは術前の角度であるということをもう一度、念頭に置いてください。 今回、参考にした文献の一部を記事のトップに抜粋しています。 術前の屈曲ROMが100°に満たない症例の場合は術後もROMの改善が乏しいという結果が出ています。 これは大腿骨の湾曲と脛骨の湾曲が生理的湾曲から逸脱して正常よりも強く湾曲してしまっているのが原因です。 ここまでの知識だけで判断すると、 じゃあ大腿骨も脛骨も湾曲を生理的湾曲になるようにopeで調整すれば問題ないのでは? と思いたくなるのですが、その方法は現実的ではありません。
湾曲を戻すということは、それだけ削ったり切ったりして形を整える必要があります。ということは骨膜に傷がつくということです。傷がつけば炎症反応が生じ、疼痛が出てくるのでさらに腫脹によるROM制限やモーターコントロール不良が生じます。 するべきopeではないということです。 【ADLに支障をきたすROM制限とその角度】 屈曲120° この角度がADLにて必要となる角度です。これに満たないと何らかの制限が出てきます。 一番理解しやすいのは起立動作ですね。 できないわけではないですが、非常にしにくいです。 また、階段昇降や床上動作、寝返りにも影響が出ます。 ROM制限があるというのは身体にとって完全にストレスであるということが分かりますね。 【ope後のROMを担保する為にできる3つのこと】 これをやればope後のROM制限に対して多少ではありますが良い影響を与えることができます。完全に良くなるわけではなく、術後に起こる炎症反応による疼痛や侵害刺激によるモーターコントロール不良の程度を抑える為です。 ・opeまでに可動域を拡大しておく(Act.Pass.共に) ・荷重コントロールの練習をする(外側に寄りすぎない) ・股関節と足関節の可動域を確保、そしてコントロール この3つが大切です! リハビリの役割とは術前にもあります。術後の離床を促すだけじゃないってことをしっかりと把握してくださいね。
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