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心不全の方に対してなぜ上肢挙上は避けた方がいい?

心不全の方に対してなぜ上肢挙上は避けた方がいい?




5/18にリハスクのインスタライブを開催しました!

質問をくださった方々、ありがとうございました。



今回もまた、質の高い質問をいただきまして回答するのが楽しく思えるほどでした!

せっかくなのでその質問の一つに対して記事化させていただきます。



この記事では、

『上司から心不全の方の上肢の運動(特に上肢の挙上)はやらないほうがいいよねと言われ、解剖学や病気について調べてなんとなくは心不全について学習できたのですが、挙上をしないほうが良いという文献等が見つからず、しっかりとした理解ができておりません。もしよろしければなぜあまりやらないほうが良いのか教えていだだけると幸いです。』



これに対して回答をしていきます!



ちょいとおさらい!心不全とは




死亡原因としてよく目にする「心不全」は、病気の名前ではありません。心不全とは、心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。心臓は無理して血液を送り出そうとしますが、こうした状態が続くと、心臓はやがて疲れて、バテてしまいます。このように、心不全はひとつの病気ではなく、心臓のさまざまな病気(心筋梗塞、弁膜症、心筋症など)や高血圧などにより負担がかかった状態が最終的に至る"症候群"なのです。心臓から血液が全身にうまく回っていかなくなると、心臓はなんとか血流を保とうとして、たくさん血液を溜め込むようになり、左心室の上流にある肺の血管に血液がうっ滞するようになります。こうなると、動くと苦しいといった症状("労作時息切れ)"が現れるようになります。また、全身の血管の血液のうっ滞は、むくみ(浮腫)を引き起こします。



心不全には、急性心筋梗塞や過度なストレスにより、急激に心臓の働きが悪くなる「急性心不全」と心不全の状態が慢性的に続く「慢性心不全」があります。急性心不全は命の危機にさらされることもありますし、慢性心不全が急に悪くなり、しばしば入院治療が必要な急性心不全に移行することもありますが、入院のたびに全身状態が低下していくため、高齢者ではとくに注意が必要です。

心不全の症状には、収縮機能、つまりポンプで血液を送り出す機能が低下することに伴って、全身の臓器に十分な血液が行き渡らないことから起こる症状と、拡張機能、つまり全身の血液が心臓に戻る機能が弱くなり、血液がうっ滞することによって起こる症状があります。ポンプ機能低下による症状としては、疲労感、不眠、冷感などがあり、血液のうっ滞による症状には、息切れ、呼吸困難、むくみ(浮腫)などがあります。最初のうちは、階段や坂道などを登ったときに息切れする程度ですが、進行すると、少し歩いたり、身体を動かしたりするだけでも息苦しくなります。そして、もっと悪化すると、安静にしていても症状が出るようになり、夜中、寝ているときでも咳が出たり、息苦しさで寝られなくなることもあります。こうした症状は、身体を起こした姿勢だとよくなるのが特徴で、こうした「起座呼吸」まで進んでしまうと即入院が必要です。また、心不全の進行に伴って、不眠症や疲れやすいといった全身症状にも悩まされるようになります。




最近、とくに高齢者で、収縮機能が保たれた心不全(拡張不全)が多いことがわかってきました。血液を取り込む力が衰え、静脈や肺、心臓などに血液が溜まりやすくなってしまうもので、通常の検査では見つかりにくく、決め手となる治療法が限られるといった特徴があります。

また、高齢者の心不全では、こうした自覚症状がはっきりと現れにくく、息切れなどの症状があっても、「年のせいだから仕方ない」「体力が落ちただけ」と見過ごしてしまいがちです。放置したまま重症化してしまい、夜中に呼吸困難を起こして救急車で運ばれてくる患者さんも少なくありません。

息切れや動悸は、狭心症や不整脈など、ほかの心臓の病気が隠れていることもあります。



(公益財団法人 日本心臓財団 https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/02/



平たく言いますと、

冠動脈の閉塞や狭心症、動脈硬化、高血圧、弁膜症、心室中隔欠損などが原因となって心臓のポンプ機能が低下した状態のことを指します。


医療従事者は循環器センターのサイトを見た方がいいですね!https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/heart-failure/


あと心不全ガイドライン2025年版が出ているのでこちらは言わずもがな必須です。



個人的にはさらにもう一つ、インプットのサイトを増やして欲しくて。

それがこちら↓



一般社団法人 日本循環器学会

という団体HPです。


さわりを知りたい、EBMに基づいた知識を身に付けたいのなら間違いなくここからスタートするべきですね!




ではなぜ、心不全患者は上肢挙上運動を避けた方がいいと言われるのか。



定義や原因から見ても、運動療法やエクササイズは必須では?と思えます。

解説がやや長くなるので結論から言います!


してもいいけど、呼吸苦や炎症状態、浮腫、運動耐容能を評価せずにやるのはやめてね。悪化させるよ?後負荷を考慮してね。


ってことです。


続いてその理由を箇条書きしていきます。








・心不全は左心不全からスタートする

・右心不全は悪化していく過程で併発する

・右心不全からスタートするのはほぼない

・ついでに言うと右心不全に関してはまだ色々定義や診療、診断エビデンスが確率されていない

・右心不全の代表例は拡張型心筋症

・左心不全が生じるとLVEFが低下して、全身への血液循環量が低下する

・左心室に血液が必要以上に残るので、やがて肺にも逆流する

・今度は呼吸苦が生じる

・呼吸苦があるので運動がしにくくなる

・上肢挙上により、胸郭の伸展と横隔膜の挙上が生じる

・それぞれの伸展と挙上により呼吸苦が悪化、そこに負荷や回数がかかるとさらに辛い

・運動ができなくなってきて、さらにLVEF低下に伴う右心室への負荷が高まる




これらの内部症状が進行するので、







・運動耐容能、呼吸数、血圧、SAT、炎症状態の評価が必須

・アンダーソンの運動基準を理解しないといけない

・バルサルバ負荷を理解してほしい

・上肢挙上の運動療法するなら、挙上するにあたり運動に必要となる箇所の評価をしないといけない

・上肢だけじゃなくて胸郭や脊柱の評価もね





と言うことがあるので上肢挙上はダメじゃないけど注意してねってことです!




ここからは徹底的に細かく解説していきます!簡単に知識としてとりあえず知っておきたい人は上記のところで終わるのがちょうどいいですよ!



心臓の生理的メカニズムや上肢の運動学をベースに

ガイドラインと委員長の臨床から得た実践の勘を組み込んだ臨床応用を書いていきます!




左心不全:基礎〜臨床実践


左房から左室へ送り出された血液を体循環へ送り出す際の収縮率が低下している状態のことです。

平たく言いますと、

肺循環を終えた酸素を十分に含んでいる血液を左室から全身に送り出しきれないと言うことです。


左室の中に左房から送り出された血液があるわけですが、

通常ならそれらを左室の収縮によって全身に送るわけですが

左心不全になるとこの左室からの送り出しが不十分になります。


その重症度を、

①HFrEF(LVEF40%未満)

②HFmrEF(LVEF40~49%)

③HFpEF(LVEF50~55%)→駆出率は維持されている心不全

④正常範囲(56~80%)

と表記します。





この中でリハスタッフがよく対応する心不全は③かなと思います。

これは高齢者にある心不全ですね。



事実、委員長も現に今の担当している患者さんがこれでして割と症状が荒れています、、

たまに本当に正常範囲か?というくらいバイタルが不安定な時があります。


SBP92

PR48(不整脈14)

とか測定される時があります。※実測値


普通に怖いです。

ビビります。

でも、大丈夫です。

委員長にはちゃんとした知識があるから。


その知識こそ、今書いている内容です。




③の場合、なぜそうなってしまうのかという点ですが

・後期高齢者ほど筋力が落ちるため、日常生活内における負荷がキツくなる。

・成人男性の筋力は20代の当時と比較して60代では50%になるという報告がある。

・報告をベースに考えるなら、筋力は間違いなく50%以上低下している状態。

・仕事も退職していることがほとんどであり、また仕事していてもフルタイムでないため生活上での活動量が少ない。

・心肺機能が低下する。

・低下した心肺機能で動くとすぐに疲れる。

・疲れるからさらに動きなくない。


という負のループが生じます。



となると、当然ながら循環量にも影響します。

こういった症例に対してどう対応するのか、ですが結構シンプルです。


・安静時のバイタルチェック(これは言わずもがな毎日)
・運動耐容能の評価(この場合、立位での腿上げ10回と20回を時間を空けて測定するとかでもOK、指標が欲しいんです)
・その評価をもとに運動量の調整をする
・疲労尺度をVASなどで調整する(その日によって疲労度が変わるため結構大事)
・評価した日を起算日としてそこから数日間のデータのアベレージを数字で出してそこをベースにしながら運動療法実施


です。ね?結構、シンプルでしょ?



①②

①HFrEF(LVEF40%未満)

②HFmrEF(LVEF40~49%)


に関してはしっかりと心電図やLVEFの数値的評価とデータが必要です。

ただ、ここでもやることは上記の羅列した内容と相違ありません。



平たくいいますと

いかにして、その人の状態を把握して後負荷をあげすぎないようにするか、です。


後負荷:心臓から全身に血液が出された時の圧



重症度的には

HFpEF≦HFrEF

なのですが、炎症マーカーは逆になるそうです。(ごめんなさい、これは調べきれてないです、、、もしわかる方いたら教えてください、、、)


この原因としては、肥満や高血圧、糖尿病(=DM)、慢性腎不全(=CKD)などの併発疾患による心臓外かrなお炎症が冠動脈の内皮細胞由来の酸化ストレスを増やして心筋細胞における肥大や硬化、繊維化に寄与している可能性があるとされています。


結局はどの心不全の重症度であろうと運動療法が必須となるのですがここで一つ注意点です。

HFpEFの約30%は呼吸筋の筋力低下も生じてるのでさらに呼吸管理も必要となります。


やたら呼吸数が多かったり呼吸苦の感じる段階が早いなと感じる場合は呼吸数の管理もするべきです。





右心不全:基礎〜臨床応用



肺循環は低圧のため、右室の筋線維は少なく右室壁は薄いです。

静脈韓流の変動に対応するため、コンプライアンスが高く、拡張末期圧が変化しにくいのが特徴です。

また、後負荷の影響を受けやすく後負荷の上昇により一回拍出量が一気に低下します。


右室は心室中隔を介した左室と影響し合っています。これを心室間相互作用と言います。

心室中隔欠損になると心不全だ生じてるのがこれが理由でもあります。

右室と左室のバランスが取れなくなるので、心臓の収縮が十分にできなくなるために心不全となります。


主な症状は、

・Edema

・腹部膨満

・内蔵鬱血

・体重増加(浮腫による)

・悪心、嘔吐

・下痢

・食欲低下などによる消化器症状


ですね。



【まとめ】


・心不全は病態のことであり疾患ではない

・HFpEFはLVEFが保たれている心不全であり高齢者に多い

・別に上肢挙上運動をしてはダメではない

・運動耐容能の問題があるよってこと

・横隔膜や肋骨の解剖的問題も影響するよってこと

・むしろ上肢挙上はしっかりとできるようになった方が結果的に心臓負荷の低下につながるからおすすめ

・でもやるためにはしっかりと評価してね

・むやみやたらにやるのはやめてね、ってこと


です!






 
 
 

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