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咀嚼と栄養素吸収


〈なぜ食事をするのか〉

そもそも私たちは何のために毎日食事をしているのでしょうか。


食事という作業には色々な意味が含まれます。


例えば誰かと食事をすると楽しい場を共有する時間になります。


また美味しいものを食べている時が至福の時だと感じる人もいるでしょう。


このように、食事はQOLという視点でも重要な意味を色々持ちますが、もっと根本的な意味としては細胞に栄養を届けるためです


私たちの身体は細胞で出来ています。

この細胞一つ一つに栄養素を届けることで、筋肉や内臓臓器などを作り出しています。

食物を摂取し、身体の中で消化・分解・吸収という過程が生じ、食物に含まれていた栄養素が細胞に届けられる。


これが食事の本質的な意味となります。


く咀嚼の意味とは〉

栄養素を細胞に届けるために咀嚼は必要になります。


栄養素の吸収率と咀嚼の関連性に関しては様々な論文が出ていますので、現在のところ概ね「よく噛んだ方が栄養素を吸収しやすい」という認識で良いかと思います。


一つ論文を紹介しておきます。


ちょっと古いですが1986年に発表された咀嚼と栄養素との関係が書かれた面白い研究があります。


この研究では、トウモロコシ(sweetcorn)、ジャガイモ(poteto)、米(rice)、リンゴ(apple)の4つの食材を用意し、A群には十分に噛んでもらってから飲み込んでもらい、B群では咀嚼をせずに飲みこんでもらい、それぞれ摂取後の血糖値を図るという内容です。

結果は、リンゴを除く3つの食材では噛まないで飲み込んだB群の方が血糖値が低かった。というものでした。


本来、これら4つの食材は糖質を含んでいるので、摂取するとそれなりの血糖値上昇を認めるはずです。


しかし、噛まないほうが血糖値が低かったという事は、噛まないことにより血液中に糖が入る量が減ったと言い換えることができます。


つまり、糖質を含んでいるものをただ摂取すれば血糖値が上がるのではなく、糖質を含んでいるものをしっかりと噛むことで血糖値が上がるということです。


血糖値が上がるという事は、食物が消化・分解・吸収されて血液中の糖が増えているということですので、各細胞へ糖が運ばれていくという事になります。


逆に、噛まずに飲み込んでしまうと血中の糖が増えていないという事になりますので、細胞へ必要な栄養素が届かないということになります。


よく噛むことは食事の本質的な意味である『細胞に栄養を届ける』ために、とても重要であるということがこの研究からも読み取れます。


また、噛まずに飲み込むと胃に負担が生じます。 なぜなら、唾液の中にはアミラーゼという消化酵素が含まれているのですが、これによりデンプンやグリコーゲンを分解します。この過程がないと十分に分解されることなくそのまま胃に運ばれるので、負担がかかってしまいますね。

噛むことの重要性は、それ以外にも色々あります。

例えば ・満腹中枢を刺激して太りにくくなる ・咀嚼筋が鍛えられる ・歯が健康になる ・脳の刺激になる


などなど様々な報告がありますので調べてみると面白いですね^ ^

忙しいとつい早食いになってしまうので、まずは自分たち自身から意識していく必要がありますね(^◇^;)



参考文献:BY N. W. READ, et al. “Swallowing food without chewing; a simple way to reduce postprandial glycaemia.” British Journal of Nutrition (1986), 55, 43‐47

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