【頸部の安定性が立位に与える影響】
立位安定性は静的安定性、外乱反応速度、運動中の動揺コントロールの3つに分かれます。
ここに関わる感覚として、
・前庭感覚
・足底感覚
・固有感覚情報(表在感覚、圧覚、触覚)
これらが感覚を確認して、求心性情報が中枢神経系で統合されて適切な運動出力で起こることで立位が安定します。
ここで重要となるのが自由度の高い頭部の運動をコントロールできるかどうかです。
前庭機能障害や頸部の何らかの障害があると、前庭、頸部からの求心性情報を正常に処理できないので安定性低下に繋がります。
これは健常人でも頸部回旋運動に伴うバランス低下があるので尚更ですね。
さらに頸部関節位置覚は前庭感覚とともに頭部の位置・運動情報を中枢神経系に提供しているので頭部運動の立位安定性に関与している可能性は非常に高いです。
つまり、頸部の可動域制限やマルアライメントが立位安定性低下に繋がるケースもあるということです。
【介入ではなにが必要となるのか】
知識はここまであっても臨床で生かすことができないのならそれはもったいないです。
どう活かすか。
静的立位のアライメント評価(脊柱)
端座位の頸部運動(全方向)
端座位時での閉眼時の頸部他動運動に対する位置覚評価
立位での頸部運動(全方向)
立位時での閉眼時の頸部他動運動に対する位置覚評価
これらが必要となります!
総合的に見ないといけないということです。
端座位と立位での評価をする理由として、端座位と立位では姿勢保持している部位が異なります。
端座位では殿部、立位では足底ですね。
端座位では安定するけど立位での運動は不安定で本人も不安感がある、という評価になればそれは接地している足底感覚の低下も予想されるし、股関節や足関節といった下肢の3軸関節の問題も可能性がわかるからです。
【アプローチ方法】
一通り、評価したらあとは閉眼時の頸部運動を促します。
具体例で挙げれば、立位で閉眼してもらい、頸部の回旋運動をしてもらいます。
この時、左右同じところまで行けるかどうかを本人に確認してもらいながら行います。
この時の本人の左右差とセラピストが実際に観察した左右差が一致すればそれは関節位置覚がある程度、整っているということになります。
本人とセラピストでの差が大きいほど頸部の関節位置覚はズレがあるということになります。
もしもこのズレがあれば、一度開眼してもらい、セラピストが本人の頸部を他動的に動かしてその位置感覚を修正します。その後にまた閉眼で回旋運動をしてもらい、修正されたらOKです。
【まとめ】
バランスを見る際に頸部だけでもここまで見ないといけません。
加えて、感覚評価をする必要性も出てきます。フラフラしているからバランス低下、ではなくいろんな環境下にしてあげて評価してみるとよりわかりやすくなりますよ!
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