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転倒により大腿骨近位部骨折を起こす要因

転倒で怖いのはやはり骨折です。


そして高齢者に多いのが何と言っても大腿骨骨折ですね


ここでは、まず骨折リスク指数というものを押さえておきたいと思います。


骨折リスク指数とは、負荷荷重を骨折荷重で割ったもので、式で表すと以下のようになります。


骨折リスク指数=負荷荷重/骨折荷重



負荷荷重とは、その名の通り骨にかかる負荷量のことを指します。転倒した時に骨に加わる衝撃荷重と捉えると良いと思います。


一方、骨折荷重とは、骨折を引き起こすのに必要な最小荷重です。


つまり、転倒した時には、骨折を引き起こすのに必要な最小荷重である骨折荷重よりも、転倒により加わった衝撃荷重である負荷荷重が大きい場合(公式で言えば1を超えたときに)骨折に至ると考えられています。


先行研究にて、大腿骨頸部の骨折荷重は若年者の大腿骨では 7,200 N 、高齢者では 3,500 N という報告があります。


一方、転倒による負荷荷重の大きさは、5,600 N という報告があります。これは、若年成人においての実験で、立位の高さから防御なし(筋弛緩)で転倒した際に生じる力を表しています。


このことを踏まえると、転倒した際に生じる負荷荷重5,600Nは、高齢者における骨折荷重3,500Nをはるかに上回るため、高齢者は転倒した際骨折リスクが高いと言えます。


しかし、転倒した際に必ず皆が大腿骨を骨折するわけではありません。



これは、なぜなのか。



実は、転倒により大腿骨近位部骨折が生じるためには、以下4つの条件が満たされる必要があると言われています(Cummingsら,1989)


①股関節付近に衝撃が加わるような転倒の方向

②防御反応の失敗

③不十分な局所的な衝撃吸収

④大腿骨に伝わった衝撃荷重が骨強度を上回る



転倒の方向などは、なかなか瞬間的に制御できるものではないですが、防御反応を高める事などは訓練で取り入れる必要があるかもしれません。


また、衝撃吸収を緩和させるために転倒リスクが高そうな自宅内の場所の床材を変更するなどの環境調整も必要かもしれませんね。



高齢者は骨密度の低下、軟部組織の粘弾性低下や筋力低下など生じているため、やはり転倒に至る手前で予防できるのがベストであることは間違いないですね。。



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