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執筆者の写真リハビリスクエア【リハスク】

指の分離を促す臨床アイデア

中等度〜重度の上肢麻痺に対し、どのような介入ができるのか?という質問をもらうことが多かったので、アイデアを共有したいと思います。


まず、2016年にHatemらが示した脳卒中後の上肢リハビリテーションに対する Decision Tree というものがありますが、これは介入の選択をする上で参考になります。

この論文では病期(急性期、亜急性期、慢性期)、手の動きの有無、痙縮の程度に応じ、推奨される主なリハビリテーション内容と補助的な療法について示されています。

この中では、どの病期においても、手の動きが少ない対象者に対して推奨される介入としてミラーセラピーが挙げられています。

なので、重度な手の麻痺がある対象者にはミラーセラピーは介入の選択肢として挙げられるかと考えます。


また、他の有効と考えられている介入方法としては、

・運動イメージ

・電気刺激療法

・VR

・反復促通療法


なども挙げられます。


これらの介入はエビデンスとしては比較的高く位置付けられていますが、運動イメージ以外の介入は技術的要素が必要だったり、機器が必要だったりするため、施設によっては実施できないということもあり得るかと思います。



なので、実践しやすい手の麻痺に対する介入の臨床アイデアを一つ以下に挙げたいと思います。



【動かしたい指以外をセラピストが固定して、目的の指に注意を集中させながら運動を促す 】


※写真は健常者を対象にしているので、麻痺の方に対しては写真とは違うセッティングが必要な場合があります。


〈方法〉

セラピストは促通させたい指の先端に抵抗を与えます。患者さんには指一本に集中してもらい、押し返してもらいます。



この時、患者さんは必死で運動を起こそうと思うので、必要以上に力が入ります。

そのため、ほぼ間違いなくPIP屈曲の反応が生じます。他の指も屈曲してきます。

この反応が生じないように注意が必要です。

ポイントとしては、「指の付け根から曲げてきてください」と声かけを行い、意識してもらいます。非麻痺側の手で何度か実施してイメージをつけてもらうのも有効です。



このアプローチで期待出来る事として、以下が考えられます。


①MP屈曲を促すことで、PIP、DIPの屈曲が抑制される


②手の内在筋は廃用性で2次的に弱化している要素も大きいので、注意を指に向け運動を起こそうとすることで、微弱ながらも随意運動が生じるケースが多い


③患者さんが少しでも随意運動を自分で引き起こすことができたと思えることで、それがフィードバックされ、運動学習の手がかりに出来る可能性がある。



脳卒中の運動麻痺に対する戦略の一つとして、「意図した動きと結果を一致させる」というものがあります。


多くの場合、人差し指を曲げたい(意図した動き)と思っても、全部の指が曲がってしまう(結果)というズレが生じてしまいます。


このズレを減らすという観点においても、上記の介入は効果的だという印象が臨床的にはあります。



臨床上、患者さんからも良い反応が得られることが多いので、参考にしてみてください^ ^



参考

Hatem SM, et al. Rehabilitation of Motor Function after Stroke: A Multiple Systematic

Review Focused on Techniques to Stimulate Upper Extremity Recovery. Front Hum

Neurosci. 2016; 10: 442.



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