なんとなく一般論として「高齢者は転倒リスクが高い」
と、考えてしまいがちです。
どのような時に、どこで、なぜ転倒してしまうかについて、知っておくことは高齢者に関わる我々にとってはとても有益になります。
今回紹介する論文はこちらになります。
「医療・介護を要する在宅患者の転倒に関する多施設共同前向き研究(通称J-FALLS)」と呼ばれるもので、要介護者1415名を対象とした1年間の前向きコホート研究になります。
この中で、転倒により重篤な外傷を発生した割合は全体の6.6%(94名)であったと言われています。
さらにこの論文の面白い点として転倒により重篤な外傷を発生した人の特徴について書かれています。
以下、要約抜粋です。
【発生場所】
・屋外よりも屋内で転倒が多い
・屋内の中でも、特に居間、次いで台所、寝室で多い
【どのような時】
・歩行中が最も多い。次いで歩き出すとき、立ち上がるとき、方向転換で転倒が起こる
【どのように】
・バランスを崩す(66.6%)が圧倒的に多い。次いでつまずく(9.6%)が挙がる
転倒というと、屋外歩行でのリスクを考えがちですがこの論文からは屋内の方がリスクが高いという事が言えます。
確かに、屋内で転倒する人は臨床をしていても多くいる印象があります。
ただ、なぜ屋内の方が転倒するリスクが高いのか、さらに居間でなぜ多いのか、この辺りは深堀する必要ありますね。
この結果を見ると、住環境整備や環境面へのアプローチの重要性が改めて感じられます。
”どのように”で「バランスを崩す」が多いのはイメージが湧きますね。
2010年のTinettiらのレビューにおいても、転倒のリスク因子として
①過去の転倒歴
②バランス障害
③筋力低下
④視力障がい
という報告があります。
バランスは転倒のリスク因子として重要であることがわかります。
このように転倒に関する要因を捉えておくと、漫然と筋力訓練を行っていれば良いわけではない事がわかりますね!
転倒予防はQOL維持にも重要なのでぜひチェックしておきましょう!
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