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セラピストが知っておきたい問診の重要性

”問診”の重要性は医療従事者なら誰もが実感すると思いますが、セラピストの中にはあまり重要視していない人も多いかもしれません。問診が大事な事は分かっていても、なんとなく感覚的に情報収集をしている人も少なくないかと思います。 実際私も病院で勤務しているときは、初期介入時にカルテからある程度の情報収集をしてから評価に行くので、情報収集の大切さは自覚していても「問診」という事を深く意識していなかったと思います。 整形外科クリニック勤務とかだともっと重要視する機会があるのかもしれませんが、私の勤務先が脳神経外科病院だったということも関係しているかもしれません。

生活期や予防の分野で働いていると、問診の重要性は非常に大きいということを実感します。

問診を深めることは、リハビリ現場でも重要になってくると思うので、今回は問診のポイントについて書いていきたいと思います。

目次


  1. 問診はなぜ必要か

  2. ポイントはオープンとクローズの組み合わせ

  3. OPQRST+VHを意識する

  4. まとめ

問診はなぜ必要か


まずは、問診がなぜ必要かを考えていきたいと思います。 例えば、外来で週1回リハビリに来ている患者さんが、ある日腰痛を訴えたとしましょう。 こういったケースは少なからず臨床現場で目にすると思います。 この時、正しい問診ができないと、当然正しい仮設診断を立てられませんよね。 診断は医師が行うものですが、腰痛や肩こりなどいつもは訴えていない症状が、ある日何気なく訴えとして挙がることはあります。 この時、その場で訴えに対し的確な評価を行い治療まで行うことが出来れば、患者さんの負担を減らすことができます。 このように、正しい評価・治療へと繋げるために問診は必要となります。

また問診は、その腰痛が、医師に報告すべきものなのか、あるいは自分で対処できる腰痛なのかという判断材料としても非常に大切です。 いわゆるRed-Flag-Signを見落とさずに適切な対処ができるのかという点において、重要になるという事です。 Red-Flag-Signがないか確認をし、リスク管理を行った上で初めて適切な評価・治療へと繋げることができます。 患者さんの安全を守るため、そして自分自身を守るためにも問診は重要なのです。

ポイントはオープンとクローズの組み合わせ

では、実際にどのようなことをポイントに問診をしていけば良いのでしょうか? 問診といっても、ただ漠然と話を聞くというスタンスでは全く意味がありません。 相手とのラポールを形成しつつ、自分が必要な情報を聞き出すという技術が必要になってきます。

質問の仕方には大きく2種類あります。 Open end Question イエス、ノーで答えられない開かれた質問のことをOpen end Questionと呼びます。 例)・どうしましたか?   ・〇〇さんの状態を教えてください <特徴> ・患者が感じていることを自由に発言できる ・質問攻めに合わないので、ラポールを形成しやすい ・患者の答えを限定しない 自由回答の空気を生み出すため、相手を尊重した会話になります。しかし、いきなり「今日はどうしましたか?」と聞かれても、相手も何と答えれば良いのかわからなくなってしまう危険もあるため、とりあえずOpenで質問してみよう!と思わないほうが良いです。空気感やタイミングが大事ですね。

Closed end Question 続いてイエス、ノーで答えられる質問のことを、Closed end Questionと呼びます。 例)・腰をぶつけましたか?   ・重いものをもちましたか? <特徴> ・テンポよく必要な情報を収集できる ・患者は自由に話せず、Closedばかりだと不満感が生じやすい(ラポール形成し難くなる) ・知識や経験豊富な人であれば、Closedをうまく使うことで仮設診断を思い浮かべながら適切な質問ができる。 Closed end Questionは、多用することで一方的な聞き方になってしまう危険があります。「この質問をした時にこういう答えが返ってくれば、〇〇の可能性が考えられるな」という先読みした考えを持ちながら、使用すると効果的な質問方法だと思います。

実際の問診場面では、この2種類の質問の仕方をうまく組み合わせていくことで、ラポール形成をしつつ必要な情報を収集することに繋がります。

OPQRST+VHを意識する

問診の代表的な考え方として、OPQRST法というのがあります。 これは、医師や看護師などが主に使いながら日々問診をしています。 ・O (On set)   発症時期、原因、契機 「いつから、何が原因で起こったか」 ・P (Palliative/Provocative)   軽減/増悪因子 「症状の変化する姿位・環境は?」 ・Q (Quolity)   症状の質 「鋭い痛み?鈍い痛み?」「常に痛いor一定の条件で痛い」 ・R (Region/Radiation)   症状の場所、広がり(放散の有無)「症状の部位は?放散はあるか」 ・S (associated symptom/Site)   随伴症状、関連兆候  「主訴に伴う別の症状や障害はないか?」 ・T (Time course/Timing)   時間経過  「症状が出始めてから経過は良好か不良か?」

これに加えて、臨床では以下も確認するとなお良いでしょう。 ・V (VAS)   疼痛度 「症状の強さは10段階でどの程度か」 ・H (History)   既往歴、家族歴、社会歴など 痛みがある場合は問診の段階で、VASもしくはNRSを確認しておきます。これは、介入前後の指標にも使えますので。 historyはリハビリ職種の場合必ず情報収集しているはずなので、ここでは割愛します。

先ほどのOpen end QuestionとClosed end Questionを組み合わせながら、上記ポイントについて聞いていくと、概ね必要な情報が得られます。 そして、あとは収集した情報から、自分の知識と合わせて、Red-Flag-Signではないか、自分が介入して改善しそうか、改善する可能性がある場合、次にどのような検査を行い、治療につなげるかを頭の中で考えていきます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は問診のポイントについてお伝えしていきました。 問診を適切に行うという事は安心感を与えることにも繋がります。 超急性期などではなかなか難しいですが、生活期で働いている人たちにとっては、必要な知識になると思います。

まずは質問形式をうまく組み合わせ、OPQRST(VH)について一つ一つ情報を収集しながら評価をしてみると良いと思います。振り返ってみると、意外とできていないものです。 より正確な評価・治療につなげられるので、患者さんに利益を還元できると思います。。




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