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腹斜筋群の機能解剖から体幹機能を捉える

『体幹を鍛えないとやっぱり安定しないですからね。ではプランクやりましょう!』 『体幹がしっかりと機能することで背骨の骨折を防げるようになりますし、痛みの改善にもなりますよ!今ここでしっかりとリハビリを積んでおきましょう!』


脊柱の圧迫骨折や分離症、脊柱管狭窄症(LCS)、脊椎ヘルニア、さらには上下肢の整形外科的疾患において体感機能を重視するのが主流になった現代のセラピスト業界。

確かに体幹機能をあげておかないと身体機能の改善には繋がりにくいし、そもそも動作時の安定性向上にはなりません。

言わずもがな体幹機能は重要です。

が、

大切→鍛えるべきポイント→エクササイズの方法→とりあえずプランクだ!

なんて思考になってませんか?

明確な理由があってそれを実施するのであれば問題ありませんが、何となく実施して効果があまり出ていないにもかかわらず継続するのは考え直さないといけません。 では、体幹機能障害を改善するにはどんな運動が適しているのか?臨床ではどんなことを考えるべきなのか。

今回の記事はそんな疑問に対して解説していきます。

目次


  1. ■腹斜筋群の構成要素

  2. ■腹斜筋の機能解剖

  3. ■腹斜筋の評価

  4. ■腹斜筋の徒手療法と運動療法

  5. ■最後に


■腹斜筋群の構成要素

そもそも論で、体幹はどこまでなのか?という議論がずっと続いています。 腹部及び腰部だけが体幹だ!

という意見もあれば、

胸郭も含めて体幹だ!という意見も少なくない。

定義されていない部分かなと思います。

でも、言葉の意味を正確に捉えるとしたら私的にはこう考えます。

脊柱が通るところ全て体幹

です。

体幹=身体の幹という訳です。幹はそのものの土台や主軸という意味になります。発生学的にいうと人間の身体は脊索という部位から発生していきます。

この脊索がやがて脊柱になるわけですが、一番初めにできるということは人体において最も重要な部分だと認識できます。

となれば、必然的に脊柱が通る頚椎から腰椎、そのさきの仙椎が体感になるという判断ができるかな、と。

この辺りは人によって意見が分かれますが、私は少なくともこう考えています。

そして、その体幹を構成する一部として腹斜筋が存在しています。 腹斜筋は〜群と言われる通り、内外に大別されます。そこから繊維ごとに分かれます。

<内腹斜筋> 横行上部繊維→起始:胸腰筋膜 停止:第10~12肋骨の下縁 横行下部繊維→起始:鼠径靭帯、腸骨稜 停止:腹直筋鞘 斜行繊維→上前腸骨棘、腸骨稜 停止:腹直筋鞘 <外腹斜筋> 斜行繊維→起始:第5~7肋骨の外側 停止:白線、恥骨結合前面、鼠径靭帯 縦行繊維→起始:下位肋骨 停止:腸骨稜

腹斜筋群と言っても細かく見ると、繊維が分かれており、それぞれ機能も異なるため、分けて考えることがポイントです。

内腹斜筋と外腹斜筋の違いは、外腹斜筋が第5肋骨まで付着するのに対し、内腹斜筋は第10肋骨までしか付着しないこと。

このポイントをしっかりと抑えておいて、臨床でみていくことをおすすめします。


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■腹斜筋の機能解剖


<内腹斜筋> 横行上部繊維:下部胸郭の安定 横行下行繊維:仙腸関節への剪断力を防止(仙骨と腸骨を圧迫) 斜行繊維:胸郭を引き下げる <外腹斜筋> 斜行繊維:胸郭を引き下げる、片側収縮で反対側回旋・同側側屈、両側収縮 で体幹屈曲 縦行繊維:体幹の同側側屈

繊維で分かれるなら当然ですが、それらの機能も厳密には異なります。

例えば、上体起こしをするにしても、腹斜筋が機能せず胸郭を引き下げることができなかったとしたら?

はい、腹直筋による作用を使ったとしても上体起こしはできません。

学生時代に上体起こしができないクラスメートいませんでした? 彼らは決して、体幹が弱いからできなかったわけじゃありません。 できない理由は内腹斜筋斜行線維における胸郭の引き下げがうまくできないがために、背臥位から上体を起こせないのです。

だから反動をつけないといけなかったり、上肢リーチ動作で上肢の重さと肩甲帯からの動きを利用してなんとか起こそうとするんですよね。 胸郭は挙上したままなので、上体起こしは上手くできないことが予測できますよね。

それは腹直筋の弱化だ!とひたすら上体起こしをしていてもあまり改善しないのは想像できます。

特に重要なのが、胸郭を下制する作用。

胸郭を下制できることで、腹圧を高めることができるため、体幹が安定します。

よく一般的なエクササイズとしてプランクや上体起こしが体幹エクササイズ見たいな風潮を目にしますが、ただするだけで鍛えられるなら我々セラピストの役割はありませんよね。


現実は、そうじゃない。 闇雲にやっても効果がない。 必要なのは筋作用をいかにして理解するかです。

胸郭を下制させて腹圧を高められるかがポイントになります。

さらには、研究論文にて腹斜筋群をエコーにて確認したところ 内腹斜筋は外腹斜筋の倍ほどの筋の厚みがあることが判明しました。

このことからも腹斜筋群の中でも内腹斜筋が特に重要なのはわかるかなと。


■腹斜筋の評価


腹斜筋群は胸郭の下制や体幹の側屈、回旋に関わることが分かりました。 私的臨床では、触診とASLRで評価することが多いです。 一番簡単ですし、ポイントさえ理解していれば難しい部分でもないので。

Ngらによると、内腹斜筋が単独で触診できる部位は「両側上前腸骨棘を結ぶ線より2cm下方の平行線と鼠径靭帯の交点、及びその2cm内方」、内・外腹斜筋重層部位は「肋骨下端部」、外腹斜筋が単独で触診できる部位は「第8肋骨下縁上」としています(参考文献J K Ng et al : Muscle fibre orientation of abdominal muscles and suggested surface EMG electrode positions. Electromyogr Clin Neurophysiol. 1998;38(1):51-8.)。

臨床的には内腹斜筋による骨盤帯と胸郭の安定が重要なので、内腹斜筋単独と内・外腹斜筋重層部位を触診することが多いです。

ASLRによる評価は、例えば腹斜筋群の収縮が弱い場合、下部肋骨が開く、いわゆるリブフレアと言われる状態になりますが、下部肋骨を徒手的に内転・下制させた状態でASLRをして挙上しやすくなるなら腹斜筋群の弱さが関係していることが予測されます。

他には、寛骨を両側から仙骨へ圧迫するように操作してASLRがしやすくなるなら、多裂筋や脊柱起立筋などの腰部筋群が関係していることが予測されます。

反対にASISを近づけるようにしてASLRがしやすくなるなら、腹斜筋群でも下部の収縮が弱いことが予測されます。


■腹斜筋の徒手療法と運動療法


臨床上におけるポイントを把握したら、徒手療法です。 流石にある程度は徒手で調整をかけないと運動療法を処方しても改善したい部分が改善されない場合もありますので。

・徒手療法における腹斜筋の調整 背臥位 膝立て位 左右どちらかの胸郭を手掌面で抑える 立てている膝をいっぺんに左右に倒す 抑えている胸郭と対側に膝を倒した時、胸郭が膝についていかないように抑える 同側に膝を倒す時は、抑えている胸郭をリラックスさせるイメージ


・腹斜筋の運動療法 立位 壁に、踵、殿部、肩甲骨をピタッとつける 3点を離さないようにしながら上肢挙上と下制を繰り返す ⚠️正確にはこの運動療法を処方すると脊柱の生理的前弯も作り出すので腰部多裂筋への促通にもなります。

■最後に

上記内容にてご質問や疑問があれば、ご相談ください!



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