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執筆者の写真リハビリスクエア【リハスク】

前鋸筋の解剖と作用について

前鋸筋は上肢に対する介入において非常に重要です。前鋸筋の機能不全は脳卒中などの場合ではリーチ動作に影響が生じ、起き上がり動作などにおいても非効率性を生み出します。


臨床では前鋸筋を働かせたい!と考えることは多いと思いますがなかなか難しいですよね。


ということで、今回は前鋸筋の解剖や働きについておさらいしていきたいと思います。



【前鋸筋の機能解剖】


まずは起始停止をおさらい。


起始:第1~9肋骨

停止:肩甲骨内側縁

支配神経:長胸神経(C5~7)


しかし、実際には前鋸筋は繊維の走行から上部・中部・下部に分けられると言われています。


細かく見ると


●上部筋束

 起始:第1~2肋骨

 停止:肩甲骨上角

 作用:肩甲骨の外転と下方回旋


●中部筋束

 起始:第2肋骨の一部~第3肋骨

 停止:肩甲骨内側縁

 作用:肩甲骨外転


●下部筋束

 起始:第4~9肋骨

 停止:肩甲骨下角

 作用:肩甲骨外転と上方回旋



このようになります。


停止部が異なってきますので、当然作用も変わってくるわけです。学校で習った前鋸筋=肩甲骨上方回旋だけというわけではないということですね。





<支配神経>

前鋸筋の神経支配は長胸神経ですが、特に上束部はC5神経根からの支配が主だという言われています。




上の図は前鋸筋(SA)と肩甲挙筋(LS)と菱形筋(R minor/major)の神経支配の様子を表しています。


これを見るとC5からの神経枝は前鋸筋上束部と肩甲挙筋、菱形筋を支配している様子がわかります。

一方、C6、C7の支配は主に前鋸筋の中束部、下束部になっているのがわかります。



前鋸筋上束部の作用は肩甲骨の下方回旋に関わると書きましたが、この神経走行を見てみても、前鋸筋上束部は菱形筋や肩甲挙筋と同様の神経支配を主に受けている事から、肩甲挙筋と菱形筋の主な作用である肩甲骨下方回旋に関わると言えそうですよね。



また、C5神経根から出た神経枝は中斜角筋を貫通して走行する頻度が高いと言われています。

これも臨床的には重要な知識になるかと思います。




【臨床応用】

これらの機能解剖を臨床に応用させていく方法を考えましょう。


まず、一番のポイントは前述した通り前鋸筋は上・中・下に分かれるという部分かと思います。

上束部、中束部、下束部、それぞれ作用が異なるということは、例えば肩の治療をする際に、肩甲骨の下方回旋をもう少し引き出したいと考えた際、菱形筋や肩甲挙筋の評価に加えて、前鋸筋上束部の評価もする必要があるということになります。


そのため、触診は重要になりそうです。前鋸筋は比較的触診しやすい筋ですが、上束部は結構難しいかと思います。

肋骨や胸椎のアライメント、椎間関節や肋横突関節などの可動性も重要になるので、評価が必要です。


また、上束部を支配する神経は中斜角筋を貫通する割合が大きいということを考えると、斜角筋の評価も必要かと考えます。仮に中斜角筋の緊張が高く圧迫したことにより、前鋸筋上束部の機能不全が生じる可能性があるからです。


臨床でぜひ触り分けてみましょう!


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