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執筆者の写真リハビリスクエア【リハスク】

PEACE&LOVE

怪我による軟部組織損傷時の応急処置といえば、『RICE』が一般的でしたが、近年はその考え方も変わってきているようです。


まず、RICEのおさらいをしておきましょう。


Rest:安静

Ice:冷却(アイシング)

Compression:圧迫

Elevation:挙上


この頭文字をとったものになります。


そこから、”Protection" の"P"が加わり、『PRICE』となり、2012年には『POLICE』という概念が出てきました。


POLICEとは


Protection:保護

Optimal Loading:適切な負荷

Ice:冷却(アイシング)

Compression:圧迫

Elevation:挙上





これらの頭文字をとったものになります。


ここでポイントなのは、Rest(安静)がなくなり、Optimal Loading(適切な負荷)が加わったことです。



これは、組織が損傷し回復していく過程で組織が線維化してしまうデメリットが大きいという事を意味していると捉えることができます。



そして、最近では、新たな概念として『PEACE&LOVE』という考え方が出てきました。



これまでRICE、PRICEでは軟部組織損傷後の急性期管理に重きが置かれていましたが、POLICEからは組織が治癒していく亜急性期から慢性期にかけての事も重要視していく流れになったと言えるかと思います。



PEACE&LOVEとは


Protection:保護

Elevation:挙上

Avoid anti-inflammatory modalities:抗炎症剤の使用を避ける

Compression:圧迫

Education:教育

Loading:負荷

Optimism:楽観視

Vascularisation:脈管化

Exercise:運動






いくつかポイントとなる部分について触れていきます。


P:保護

出血を最小限に抑え、損傷した繊維の膨張を防ぎ、損傷を悪化させるリスクを減らすために、1~3日間は負荷をかけなず安静を重視する。しかし、長時間の安静は組織の強度と質を低下させる可能性があるため、最小限にとどめる。


A:抗炎症剤の使用を避ける

抗炎症剤は痛みや機能に効果がある一方で、最適な組織修復に有害な影響を及ぼす可能性がある(特に高容量)。


E:教育

患者教育を適切に行うことが重要と示されています。特に、電気療法、手技療法、鍼灸などの受け身的な治療法に頼るのではなく、治癒期間や予後の状態などを患者と共有し、積極的に前向きに治療に取り組めるよう教育することが必要です。


L:負荷

機械的ストレスは早期に加え、症状が許す限り通常の活動を再開すべき。痛みを悪化させることのない範囲で負荷をかけることで、組織の修復やリモデリングを促進し、組織の耐性を高め、機械的な伝達によって腱、筋肉、靭帯の能力を高める


O:楽観視

うつ、恐怖などの心理的要因は、回復の障害となる可能性があるため、楽観的な考え方が望ましい


V:脈管化(心血管活動を高める)

有酸素運動は、モチベーションを高め、損傷した構造物への血流を増加させるために、受傷後数日後に開始すべき


E:運動

運動、リハビリによりモビリティを元に戻したり、固有感覚の機能を高めることに繋がることが期待できる



流れとしては、応急処置対応の初日はPEACEで行い、翌日以降からLOVEを実践していくと良いようです。



興味深いのが、アイシングが入っていない事です。


今でも外傷の急性期ではアイシングを最初に行う文化が残っている施設や人は多いのではないでしょうか。


冷やすことにより、鎮痛効果は得られる可能性はありますが、血管新生や血行再建を阻害し、好中球やマクロファージの浸潤を遅らせ、未熟な筋線維を増加させる可能性があるとの指摘もされています。


こういった背景からIceは現在の概念では消されているようです。


ただ、熱感が強い時などは冷やした方が良い印象が、個人的な経験則としてはあります。


なので、これらを踏まえた上で、必要と判断すればアイシングも使用して良いのではと思います。



今回は、簡単に軟部組織損傷後の応急処置『PEACE&LOVE』について書いてみました!


普段整形疾患を見ない人も、在宅では転倒する人も多いので知っておくと良いですよね







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