リハビリでは呼吸訓練を提供することも多いかと思います。
体幹機能を高めるため、呼吸リハビリとして、リラックスさせるため・・・などなど目的は様々かと思います。
呼吸法も様々ありますが、「鼻から吸って口から吐く」ことは共通して推奨されているかと思います。
では、なぜ鼻から吸うことが良いのか。
これは上気道についての図です。
上気道とは、「鼻腔・咽頭・喉頭」を指しますね。
上気道には以下のような役割があります。
・防御機能(異物等に対するフィルター機能)
・吸気の加温・加湿
・食物などの摂取物を食道へ運ぶ
・吸気ガスを気管へ反射的に導く
・喉頭蓋の作用で誤嚥の阻止
特に呼吸リハをする上では、加温・加湿機能の理解は重要で、肺に乾燥した冷気が侵入しないよう、ガス交換のために必要な温度・湿度に調節されます。
肺胞に達するまでに37℃、湿度ほぼ100%になると言われています。
気管切開や気管挿管のような人工気道を介している患者様は加温・加湿機能が損なわれるので、人工鼻や加湿器などを用いて加温・加湿が行われます。
これら防御機能や加温加湿機能は特に鼻腔が重要な働きをすると言われていますので、鼻呼吸が重要だということが分かるかと思います。
また鼻呼吸を推奨するもう一つの理由として、一酸化窒素(NO)が副鼻腔内で産生されるということが言えます。
NOは血管拡張作用があり、鼻から吸気を行う事で肺に到達し、局所的な血管拡張を介して肺の酸素吸収を促進すると考えられています。
ちなみに、狭心症の時にニトログリセリンを投与されますが、ニトログリセリンも投与すると体内でNOとなり血管を拡張する働きがあります。
こう考えると、納得いくかと思います。
以上を踏まえると、鼻呼吸により、
・加温、加湿作用が働きやすい
・防御機能により異物を体内に入れにくくする
・NOの働きで肺の血管拡張を行い酸素の取り込みを増やす
こういった作用が期待できると考えられます。
何気なく行いやすい呼吸訓練ですが、少し意識してみるとより身体に良い作用を与える練習になりますね。
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