参考文献 ja (jst.go.jp)
背臥位における15 mmの頭部並進運動が 頸椎・上位胸椎動態に及ぼす影響
寝返り動作の体幹パターンに関連する因子の検討
健常者 に お け る寝 返 り動 作 の 定 量 的 類 型 化
【背臥位でできる!効率的に脊柱を動かす運動理論】
この記事はこんな方におすすめ!
・体幹機能を向上させる運動療法を知りたいけど、プランクとかしか思いつかない。
・脊柱疾患の患者さんへの体幹リハビリが知りたい。
・寝返り動作を改善したい患者さんがいる。
・脊柱をしっかりと動かせるようになるリハビリで低負荷の運動を知りたい。
この記事で学べることはこちら!
・寝返り動作における体幹機能
・寝返り動作時の身体の動かし方における体幹および脊柱の動き方
・どうしたら効率よく脊柱を動かせるようになるか
・モビライゼーションじゃなくて、運動療法で正しい脊柱の運動感覚を養う
この3つの項目で話を進めます。
《寝返り動作に必要な要素》
《寝返り動作における3つのパターン》
《脊柱疾患患者にもリスクなくできる寝返りをつかった体幹の運動療法》
では、本題にまいります。
《寝返り動作に必要な要素》
片麻痺患者であれば、ベッド柵などの支持を使っての寝返りが主流だったりしますが、どうせなら身体機能のみで動作遂行できるのが理想ですよね。
その寝返り動作をするための要素がこちらです。
・上肢リーチ
・体幹回旋機能(特に頚部~胸椎伸展)
・体幹伸展機能(特に頚部~胸椎伸展)
・股関節、膝関節伸展
・股関節回旋
・前庭機能
・眼球運動
この7つの運動が必要となります。
上肢リーチは、それこそ片麻痺患者であれば柵を使ったりしたいですし、片麻痺がなくとも上肢リーチによる体幹回旋と肩甲骨挙上をさせることで寝返り動作を遂行できます。
体幹回旋機能がなければ、寝返り動作がかなり難しくなります。体幹回旋機能がなくともできなくはないですが、その難易度は一気に上がりますよね。たぶん、やってみればわかります。
体幹伸展機能は、寝返り動作の最後あたりで伸展させることでごろんとなることができます。その伸展がないと綺麗に背臥位から伏臥位になれずに半側臥位のような姿勢になります。
股関節と膝関節伸展により寝返り動作下肢パターンができるようになります。また、股関節回旋機能により、体幹回旋がよりしやすい状態になります。
前庭機能や眼球運動が機能的になっていれば、体幹回旋方向や寝返り方向の認知やイメージがしやすくなります。
《寝返り動作における3つのパターン》
リハビリ現場では、重要視する寝返り動作ですが3つのパターンが存在します。前述した7つの要素を駆使して動いています。
1つは上肢リーチパターン。
上肢リーチ動作を先行させて体幹回旋をして行うパターンです。
赤ちゃんがするパターンであり、成人になるほど出来なくなってくるパターンです。
できなくなる最大の要素としては、口述するあるパターンの方が圧倒的に楽だからです。
2つめは頭部頚部伸展パターン。
僕らが生まれて最初に獲得するであろう日常生活動作です。
人の親になるとわかりますが、寝返りができるようになったわが子をみると幸せが爆発します。その後は、就寝中の寝返りが気になってきます。布団が外れて身体が冷えないか、とか寝返りが勢い余ってうつ伏せになってしまい窒息しないか、とか。
まさに子育てあるあるです。
(今度、子育てあるあるとかの記事を書いてみましょうか。もちろん、セラピスト視点で)
3つめは下肢パターンです。
上述した成人が圧倒的に楽だからする寝返りパターンです。
背臥位から下肢で床やベッドを押し出して身体を体側へ移動させる動作ですが、本当に楽ですね。
ただ、このパターンは他の2つとは違い身体をそこまで使うことなくできるため機能低下につながるリスクもあるので注意です。機能低下のリスクがあるものとは、何なのか。このあと、お伝えしますね。
《脊柱疾患患者にもリスクなくできる寝返りをつかった体幹の運動療法》
理解が進んできたところで、臨床的観点で寝返り動作を解説します。
基本的にどんな疾患であれ、基本動作に対してリスクを抱えることはありません。ただし脊柱疾患だけはそのリスクが大きくかかります。
たとえば、圧迫骨折の患者さん。
術後や保存療法直後の禁忌は、体幹回旋。
寝返り動作は体幹回旋が入るため、どうしたもんか、、、となります。
おそらくこれを読んでいるあなたも臨床で一度は悩んだことがあるはず。
コルセットを着用していればある程度は安心できますが、外しているとなると話は変わりますよね。
そして、体幹トレーニングをしたくとも回旋動作が禁忌だったり、そもそもの体幹動作自体がダメだったりします。そんな時に使えるのがこの寝返り動作なんです。
でも、前述した通り頭頸部伸展パターンと上肢リーチパターンは体幹回旋が入るからNG。
ということは?
そう、下肢パターンを使えばいいだけのこと。
下肢パターンでは、他の二つのパターンよりも体幹における操作性が低下しますが機能しないわけではありません。
動作時の固定に大きく関わります。
動作時の固定力が強まることで、体幹の安定性も増します。
下肢パターンを用いた寝返りをする際、注意点があります。
それは、床をおす下肢の股関節が内転内旋しないことです。
実際に動作をすると、わかるのですが内転内旋しながら行うとやりやすいです。
でもちゃんと体幹を使わなくなります。
股関節の内旋により体幹を使わずに、股関節の骨適合性を使って動くので関節負荷を高めて代償的に動くことになるからです。
誘導する際はこの代償動作に注意しながら行うといいですね!
体幹のある程度の可動許可が出たら、上肢パターンなどを駆使してさらに体幹機能を活用する動作練習をしていくことで賦活化されます。
まとめ
・体幹機能を鍛えるなら、寝返り動作が効率的。
・脊柱疾患で体幹回旋が禁忌でも大丈夫。
・下肢パターンで寝返りすれば体幹回旋をさせずに体幹エクササイズになるから。
・可動許可が降りたら別パターンでさらにレベルアップ。
です!ぜひ臨床に使ってくださいね。
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