top of page

拘縮肩に対するアプローチ【影響の大きい3つの軟部組織】




肩関節の拘縮治療のアプローチ【制限因子となりやすい3つの組織】



肩関節疾患の中でも個人的に悩むことが多いのがこの

拘縮肩

かなぁと思ってます!

なぜ悩むのか。それは、痛がる患者さんに対してどこまで踏み込んでいいのか介入後に痛みが強くなったらどうしよう症状を増悪させるくらいならとにかくマイルドでいこう、、という感じで介入してしまい結果、全然現場から改善しないという負のスパイラルがあるからですね!




うぅ、なんて嫌な記憶だ、、、まさにこんな経験したことありますよね。




でも実は拘縮肩に対するアプローチってそれほど難しくないのです!

むしろ、きちんと知識をつけてどの程度まで動かしていいのかを理解しておけば介入しやすい疾患なのではないかと感じています!

そんな拘縮肩についてお伝えします!

それでは、さっそく下へ!⇩




《と、その前に簡単に事前説明》



そもそも拘縮肩とは?という部分について簡単にお伝えします。



関節を構成する組織以外の皮膚や筋肉、神経などが癒着し自動的にも他動的にも関節運動に大きな制限をかけている状態

という認識でいてください。



この辺は文献などを引っ張ってくると、こうなります。⇩



関節拘縮は、病理的変化の起こっている部位の相違によって拘縮と強直に分類される。強直を関節端、関節軟骨、関節包、靱帯などの関節構成体そのものの変化とし、拘縮は関節構成体以外の皮膚、筋肉、神経などの軟部組織の変化としている。一方、拘縮を関節包や靭帯を含めた軟部組織の他動的な運動制限全般とし、関節相対面の癒着によって他動的に関節が動かなくなった状態のみを強直とする分類もあり、その定義は諸家により異なる。関節拘縮の要因が関節包以外の軟部組織であっても、不動が長期化すると二次的に関節構成体そのものにも病変をきたし癒着や骨性強直へと進展する。このことを踏まえるとセラピストは可及的速やかに病理的変性を見極めアプローチ方法(関節モビライゼーション、ROM、ストレッチング、物理療法など)を選択し拘縮の改善に取り掛かる必要がある。





うい。非常にややこしい。


でも要は、固まらないように時期別をしっかりと評価して見極めてアプローチしていこうぜ!ってことです。




ちなみに似たような疾患として凍結肩が存在します。

似ていますが、違うものです。

凍結肩に関しては結論、まだこれだ!という定義は存在しないので見解があれやこれやと動いているのが現場です。




現場、研究と論文、それから日頃の臨床から考慮すると明らかな原因がないのにも関わらず肩関節に疼痛が生じたり可動域制限がかかっている状態のことを凍結肩と示すと感じます。





肩関節拘縮で重要な3つの組織




今まで肩関節疾患のリハビリをしてきて、個人的に拘縮の問題点として挙げる頻度が高いと感じるのは以下の3つの組織です。


・烏口上腕靭帯

・大円筋

・棘下筋


どの症例でもそうだとは言えませんが、かなり高い頻度で問題点として挙がることを経験します。

なので、今回はこの3つの組織を中心に解説していきます。




烏口上腕靭帯





烏口上腕靭帯は肩関節前面で、烏口突起の基部と下部から、上腕骨の小結節、腱板疎部を超えて大結節へと至ります。


烏口上腕靭帯は靭帯は靭帯でも、疎性結合組織に分類されます。

疎性結合組織は、膠原繊維が少なく構造的に弱いですが、弾力性や伸張性に富んだ構造であるとも言えます。




ただ、弱い構造であるが故に損傷しやすく、炎症が起こると瘢痕化して棘上筋や肩甲下筋と癒着が生じ、可動域制限を引き起こします。



個人的には、肩関節拘縮でよく認める内転制限や外転に伴う骨頭の下方滑りが制限されるのは、棘上筋と烏口上腕靭帯の癒着が要因の1つだと感じています。


アプローチとしては、肩関節外旋位で烏口上腕靭帯を伸張した肢位で行います。

ポイントは、屈曲位あるいは伸展位では、烏口上腕靭帯の前方あるいは後方が緩んでしまうので、中間位で外旋位にし前方も後方も伸張されるようにしましょう。




1.背臥位で肩関節を外旋位にする

2.母指で大結節を外旋方向へしっかりと引き出す

3.そのまま肩関節を内転する

4.肩関節を挙上させ、肩甲骨を上方回旋させる5.元の位置に戻し、繰り返す



また、棘上筋との癒着剥離を狙ったアプローチも紹介します。



1.背臥位で肩関節を外旋位にする

2.肩甲帯を挙上させ、肩甲骨を上方回旋させる

3.そのまま肩関節の内外転を繰り返す



大円筋




大円筋は肩甲骨外側縁から上腕骨の小結節稜に付着します。

個人的には、肩関節挙上90°以上での制限因子として認められる場合が多いと感じています。


ただ、大円筋と走行が似ている広背筋も制限因子としてしばしば認められるため、どちらがより制限因子として強いのかを鑑別しておく必要はあります。

どちらも制限因子として強いことも当然ありますが、それも含めて評価することが大切です。



簡単にできる方法として、側臥位での肩関節屈曲角度で評価することができます。

広背筋は胸腰筋膜と連結し、反対側の大殿筋と繋がっています。



これを利用して、側臥位で股関節屈曲+骨盤後傾+腰椎後弯させた場合とさせない場合での屈曲角度の変化を評価します。



股関節屈曲させた場合に制限が強くなる場合、広背筋による制限が強いことが予測され、特に変化がない場合は大円筋による制限が強いことが予測されます。


ちなみに、大円筋の柔軟性評価は僕は3rdポジションでの外旋可動域で評価しています。

アプローチとしては、大円筋と広背筋間の癒着を剥離し、大円筋に直接ダイレクトストレッチを加えつつ、肩関節運動でストレッチをかけていきます。



1.背臥位で大円筋と広背筋間に指を入れる

2.指を入れたまま、筋間を引き剥がすように大円筋を下方へ引き出す

3.何度かした後、大円筋を押圧する

4.押圧したまま、肩関節を屈曲、外転、外旋方向へ動かす

5.繰り返し行う




棘下筋




棘下筋は肩甲骨の棘下窩から上腕骨の大結節へ付着しています。

1stポジションで内旋することで棘下筋上部繊維、2ndポジションで内旋することで棘下筋下部繊維の柔軟性を評価することができます。


棘下筋は上腕骨頭の後方に位置するため、棘下筋の柔軟性が乏しくなると、骨頭を前方に押し出すObligate translationが起こります。

これにより、屈曲時や内旋時の骨頭の後方移動が妨げられ、関節可動域制限に繋がります。

アプローチとしては、棘下筋上部繊維は肩関節内旋位で伸展、下部繊維は肩甲骨下方回旋+肩関節内旋位で外転することで、最大限にストレッチできます。






閲覧数:74回0件のコメント

Comments


bottom of page