今回はすぐに使える捻挫に対する評価と治療ポイントについてお伝えします!特に後半は解剖学的に足部において見るべきポイントも書いていきます!
ーーーーーーーーーーーーーーーー 目次
捻挫に対する評価〜概要〜
捻挫に対する評価~概要その2~
捻挫に対する評価〜機能解剖学に基づく臨床的観点〜
捻挫に対する評価〜姿勢アライメントから予測する問題点〜
捻挫に対する評価〜触診から治療へつなげるポイント〜
まとめ ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー 捻挫に対する評価〜概要〜 ーーーーーーーーーーーーーーーー
捻挫といえば足関節の整形外科的疾患。その多くは内反捻挫です。
足関節を評価するのはもちろん、足趾、膝、股関節、体幹、胸郭、頸部と要素はたくさんあります。
これだけあると、全部評価しようとしたら時間がいくらあっても足りません。
もちろん本来は評価するべきですが、なかなか臨床現場ではそう出来ないですよね。ましてやスポーツ現場はもっと時間がない。
・短時間で、トップダウンで評価するのが苦手だ。 ・うまく動作分析することが出来ない。 ・全部診ようとしてしまってどこから診たらいいのかわからなくなる。
こんな悩みを抱える方もいるでしょう。
捻挫って足関節だけ診てもダメ!ってよく言われてますよね。でも評価方法って数値化できないから主観が強くなるし。 どこに焦点を当てたらいいのか迷ってしまうのがこの疾患。 そんな疾患に対する明確なポイントがあったら楽だなって思ったので……。
診るべきポイントをお伝えします!
ーーーーーーーーーーーーーーーー 捻挫に対する評価~概要その2~ ーーーーーーーーーーーーーーーー
まずは、受症部位をしっかり把握するためにも足関節の状態を知りましょ!
・視診(皮下出血がないか、腫脹がないか) ・周径(フィギュアエイト、両果、下腿最大周径) ・足関節のROM(全可動方向) ・足関節のMMT(ROM同様、健側は5あるのが必須) ・靭帯ストレステスト(ATFL、PTFL、CFL) ・足趾の可動性(フルレンジで屈曲できるか)
上記の6項目は必ず見るべきです! 皮下出血は視診でもできる捻挫の重症度判定です。皮下出血がなければ靭帯損傷なし或いは部分的、出血がある場合は断裂か骨折の可能性があると判断することができます。 また、骨折の有無に関しては特にスポーツの現場などでは緊急性が高いので 「Ottawa Ankle Rule(オタワアンクルルール)」というもので評価します!
ただ、こちらはレントゲンを使用せずに評価することを目的とされているので病院やクリニックなどで使うことはないでしょうね。
スポーツ帯同をしたいと希望している方は調べるといいですね!
周径は皮下出血がなくても腫脹が生じることがほとんどですし、捻挫の治療中は荷重できなかったりするのでどうしても患側の筋収縮が入る機会が失われます。
なので実際に荷重やCKCでの運動開始となった時に健側と比較し、筋ボリュームをどの程度戻すのかという指標にもなります。
ROMやMMTはオーソドックスな評価ですね。 ただ測るだけではなく、筋連結を考慮しつつどこの部位がトリックモーションを起こしているのか、オーバーユースなのかをしっかり考えながら測定すると良いです!
靭帯ストレステストに関しては、疼痛誘発テストのようなものなのであまりにもクライアントが疼痛を訴えたり、腫脹や皮下出血がひどい場合は避けてください。無理にかけるとラポール形成ができなくなる可能性がありますし、何より回復過程にある靭帯を再度、意図的に破壊することになりますのでご注意を。
足趾の可動性は両側ともにフルレンジ屈曲と伸展が自動運動でできることが望ましいです!
これがあると無いとでは、浮腫の対処もかなり変わってきますので。
ーーーーーーーーーーーーーーーー 捻挫に対する評価〜機能解剖学に基づく臨床的観点〜 ーーーーーーーーーーーーーーーー
ここからは機能解剖学的ポイントを踏まえつつ話していきますね!
まず、概要編でも書いた足趾のフルレンジの屈曲がなぜ必要かというと、
足趾の屈曲伸展はフルレンジないと機能しないからです!
全張力の関係でフルレンジがないと筋は十分に機能してこないですよね。
とりわけ足趾はその主動筋が小さくサポート筋となる筋の方が大きいので、少しでも制限があるとそれが代償動作に直結するのです。
例えば、
a.足趾屈筋群の伸張性が不足 ↓ 歩行周期の特に立脚後期にて蹴り出し時に足趾の屈曲が出ない ↓ 足関節底屈の努力性アップ。 ↓ 足趾屈筋群のタイトネス
もしくは、 b.足趾屈筋群の伸張性が不足 ↓ 足趾屈筋群の筋力低下 ↓ 屈筋群の剛性による安定性代償 ↓ 足趾屈筋群のタイトネス ↓ 腰椎前弯アップによる前方推進力の代償
など。
いろんな代償パターンが生じます。
それが続くことで下腿三頭筋がタイトになってきたり、腰椎の過前弯による腰痛が生じたりします。
結論、足趾の可動域はめちゃめちゃ重要ということです!
ーーーーーーーーーーーーーーーー 捻挫に対する評価〜姿勢アライメントから予測する問題点〜
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はい、ここからはアライメント評価です!ここは僕自身、すごく大切にしているところなので密に書いていきます!
アライメント評価は教科書ベースでまずはしてみましょ!
矢状面:耳垂→肩峰→大転子→膝蓋骨後方→外果 前額面:後頭隆起→椎骨棘突起→臀裂→両膝関節内側の中央→両内果中央
この二つをまずはしっかり確認します。そこからさらに詳細を分けます!
矢状面:下顎と胸骨のラインが平行、第10肋骨と上前腸骨棘(ASIS)が平行、大転子がASISより1横指後方、膝関節裂隙と足底が平行
前額面:両肩峰の位置が平行、両側の第10肋骨の位置が平行、大転子の向きが同じ、膝蓋骨(patella)の向きが同じ、足部の向きが同じ
ここまでしっかり見れるといいですね!
特に体幹を評価したいのであれば、 下顎と胸骨のラインが平行、第10肋骨と上前腸骨棘(ASIS)が平行 両肩峰の位置が平行、両側の第10肋骨の位置が平行
ここはしっかりと評価してくださいね!
体幹のニュートラルポジションに持っていくためにはここがしっかり整っていた方がいいので!
これは僕の臨床感なので主観的な意見になりますが、 第10肋骨と上前腸骨棘(ASIS)が平行であるかどうか は、特に見ていく必要がありますね。
女性に多い傾向にあるのですがここが平行でないと、腹斜筋群、特に外腹斜筋がタイトネスになっていることが多いですね。
外腹斜筋がタイトネスになると。。。
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体幹筋の伸張性低下 ↓ 剛性による安定性代償 ↓ 腰椎前弯過剰 ↓ 股関節内旋
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と、なるので、体幹の機能不全となり、腰椎椎間関節の骨ロックと股関節求心位破綻により立位の安定性が崩れます。
そうなると臀筋のタイトネスもしくは筋力低下が生じ、日常生活で股関節を使う頻度が減るので、膝痛や腰痛が生じるのです。
体幹から派生する影響はかなり大きいのでしっかり評価できるといいですね!
体幹が機能不全による影響は下降性関節連鎖で足関節と足部にも影響します。
体幹が機能不全と起こすと、足関節は回外になる傾向があります。
そして、捻挫が最も頻度が多いのが過回外による内反捻挫です。
足関節が回外していると、足部は代償して回内していることが多いです。
足部の回内により、母趾屈筋群の短縮が生じますので踏ん張りが効かなくなります。
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母趾屈筋群がしっかりと機能しない ↓ 踏ん張りが効かない ↓ 足関節は回外しているため骨ロック状態で安定 ↓ 外的刺激による筋反応遅延
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この流れが生じることで内反捻挫が生じてしまうのです。
アライメント評価をしっかりして再発防止に努めましょー!
ーーーーーーーーーーーーーーーー 捻挫に対する評価〜触診から治療へつなげるポイント〜 ーーーーーーーーーーーーーーーー
治療するポイントもたくさんあります!
本当は全身くまなく調整するのが本質ですがリハビリ業界ではそうも言ってられません。
なので、特に機能改善をしやすい部位にポイントを絞って書いていきます!
まずは、足関節ですね。 ここは前脛骨筋(TA)、後脛骨筋(TP)、腓腹筋(gastro)、ヒラメ筋(Sol)、長母趾屈筋(FHL)を主体に見ましょ!
TAは脛骨の前傾と前方の安定性 TPは脛骨の後方安定性 gastroは、後方安定性と底屈による蹴り出し力 Solは、インナーマッスルとしてしっかり評価する FHLは足部の安定性に関与しますのでこの辺を踏まえて評価してください!
触診して、健側と比較し、硬さや伸張性、走行、等尺性収縮でどこまで筋走行が追えるかを診ましょ。
それができたら、健側と比較しつつ患側を揃えるようにリリースやストレッチをかけていく。
全部、いっぺんに治療するのではなく一つ一つリリースしたら筋発揮がどの程度なのか確認して変化でたら次の部位、変化が出たら次の部位、と確実に丁寧に治療していきましょうね!
まとめ
いかがだったでしょうか。
いろんなポイントがありますが、まずは上記で記載したポイントに沿って評価と治療をしてみてください!
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