先日、友人からこんな質問を貰いました。
「腱板断裂でopeしていない保存の場合って、どうしても肩の器質的問題があるからアクティブに動かせないのはわかる。それでもADLは継続される。そうなったとき、どうやって代償動作を意図的に作ればいい?」
はい、この問題は結構生じますね。
肩関節の介入で間違いなく、一度は誰しもが悩むルーツです。
器質的問題があるとわかっていても、リハビリテーションでなんとかなるんじゃないか。
徒手療法を駆使したらよくなるのではないか。
運動療法+徒手療法ならいけるはず。
少なくとも2-3年目の私は思っていました笑
特に当時は徒手ならいけるはず!と強く思っていた時でしたね。
でも、器質的問題でしかも関節を動かすための筋組織自体が機能を失っている状態です。
いうならば、切れたワイヤーをセロハンテープで無理やり修復したようにみせかけた自転車のブレーキです。
どう考えても機能しません。
そんなブレーキは当然ですが、効きませんので効かないとわかっているあなたはブレーキに頼らずに足で止めることをします。
腱板断裂の場合、どうしたってもう切れている筋組織は機能しません。
おまけに筋の走行がぐちゃぐちゃになって組織回復だけしているので、収縮もしにくいですね。(ほぼしませんが、完全にしないわけじゃないので収縮しにくいという表現をしています)
となるとやはり、代償動作で見ていくしかないですよね。
ここがセラピストとしてのアイディアが活きてきます。
我々は正しい動作やバイオメカニズムに沿った学習をしていますが、代償動作を意図的に使うための勉強は学生時代にはしていません。
臨床の中でどれだけ自分の知識を絞って、創意工夫が出来るかどうかが鍵です。
腱板断裂で保存の場合、どんな代償動作を使うといいのか。
ご説明いたします。
①バンザイするなら肩甲骨の挙上を使う
ここはイメージしやすいかと思います。
腱板断裂している以上、肩甲上腕リズムや肩関節として機能的動作は不可能です。
そこで肩甲骨の可動域を使った代償動作で所作をするのが基本となります。
頭上の物を取る時なんかはまさにそれですね。
②体幹の側屈、伸展を使う
こちらもよく、臨床の代償動作としてみられる代表例ですよね。
ope後なら防ぎたい動作ですが保存なら積極的に使うべき動作でもあります。
①と複合的に使うことで頭上の物が取れるようになったり物を持ち上げられるようになります。
③基本的に上肢運動の際は肘屈曲位
これはてこの原理を思い出してください。
上肢をすべて伸ばした状態でリーチして動かすのは、肩関節としてしっかりと固定性と安定性がないとできないです。
腱板断裂では、その二つの条件を満たすことが出来ないので、肘は屈曲位でリーチさせたり、動かすときは肘屈曲90°以上でやることがおすすめです。
90°以上にすることで、前腕の重さを取り除くことができます。
➃本人がしている代償動作をそのまま肯定する
ここが一番、重要なのですが機能的に関節を動かせない以上、正解が存在しません。
あるのは、やりやすいかどうか、使いやすいかどうか、その動作をしやすいかどうかだけです。
とはいっても病態の理解をしているのが大前提です。
診断名で腱板断裂=代償動作を使えればいい、という考えにはならないでください。
どうして、代償動作を使わないといけないのか。
どうして、その関節を動かせないのか。
などど、どうして?という部分をとにかく解消できるように思考を繰り返しましょう。
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