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【リハビリテーションにおける筋肉の動きをイメージさせるメソッド】




床反力モーメント、床反力ベクトル、運動モーメント、運動ベクトル。


モーメント

ベクトル、、、


あぁもう。これだけで耳が痛い。。。


これを書いている安齋は、高校時代に物理学を専攻したくないという理由だけで文系コースに進みました。




それがあだとなり、大学受験の選択肢を失ったわけで、さらには専門学校進学後の物理学の講義にアホみたいに苦しんだわけですが、、、



そんな物理学でよく出てくる言葉がベクトル、モーメントです。


この時点で耳を塞ぎたくなる方もきっといることでしょう。

事実、ぼくもPTとして社会に出るまではそうでした。


でもね、PTとしてリハビリ職として経歴を積むほどにこのベクトルとモーメントの重要性を理解しました。特に現在、整形外科クリニックに勤務している身なのでその重要性は顕著に感じます。なんせ、メイン疾患は整形外科ですから。



そんな物理学ワード2選。

こんな感じに考えてもらえると臨床でもイメージしやすいですよ~!っていう紹介をこのコラムでさせていただきます。


これ、学生にも結構面白い!って言ってもらえているのでイメージがしやすいはずです。


ではいきます。




・床反力とは

モーメントとベクトルに関しては、理解するためにはまずこの床反力という言葉を理解しないといけません。



床反力とは、床から返ってくる力のことを言います。

物理学的にいうと、立った時の運動力学によって生じる運動エネルギーです。


はい、意味がわかりませんね。

チョー簡単に言いますと、

50kgの人が立った時に床から跳ね返ってくるパワーが50kgだということです。


みなさんはトランポリンをしたことはありますか?

あそこに立つと沈みますよね。


あれは、トランポリンの面が立った皆さんの体重を反発出来ないがゆえに沈みます。

幼児たちが立つと沈まないのは、面のテンションが幼児の体重に対して拮抗できるパワーを持っているからなんです。


もっと日常生活に即してお伝えすると、

雨上がりの土ってぐにゃぐにゃですよね。

でも晴れの日でからっとしていると逆にぐにゃぐにゃせずに硬く感じます。


これが床反力です。


僕たちが普段、当たり前のように踏んでいる床や地面は僕たちの体重を的確に跳ね返せるほどの硬さ(=テンション)があるので、僕たちは硬いという感覚が得られます。


このテンションを持っていないトランポリンやバルーン上で立つと沈むわけです。


皆さんは水の上に立てないですよね?

なぜですか?


水だから、、、という回答をしたくなるでしょうけど、水でもあることをすると沈むが立てるようになります。それは片栗粉など水粒子を寄せ集めることができる成分が入れば水の上でも立つことができます。



ただの水の上に立てないのは、水を構成する粒子は結びつきが弱く人間のように質量(=体重)のある物体が乗るとそれを支えられるだけのテンションが作れないために僕たちは沈んでしまいます。



これが床反力です。




・モーメントとベクトルは?


モーメントとは関節を動かしたときに発生する運動方向への力の量。

ベクトルとは2つの筋肉が生み出したモーメントから作り出される力の掛け算。


このように表現します。


さて、これも意味が分かりません。

もっと簡単に言います。


モーメント=2kgの重りを持った状態で肘を曲げた時の上腕二頭筋のパワー!

ベクトル=肘を曲げた時の上腕二頭筋と上腕三頭筋のパワーを掛け算したパワー!


です。

モーメントとは要は力のことです。

ベクトルとは、主導筋と拮抗筋の総量です。



結構、忘れがちですが主導筋のパワーに対してそれ相応のパワーを拮抗筋が出力しないと僕たちは適切な関節運動をすることができません。


その適切な関節運動を生み出すことで生じるパワーがベクトルです。

僕たちの関節はこの2つの筋肉から生み出されるパワーの合計値を常に支えながら関節運動をコントロールしています。


そう考えると関節にかかるパワーってすごいですよね。


ちょっと余談ですが、このモーメントとベクトルの関係性をベースに踵上げにおける下腿三頭筋にかかるベクトルをお伝えします。



体重50kgの人が踵上げすると下腿三頭筋にかかるベクトルは150kgです。

えぐいですよね。


つまり、ぼくたちのふくらはぎは踵上げしたときに体重の3倍のパワーを出さないといけないし、距腿関節はその3倍のパワーに絶えないといけないわけです。

しかも距腿関節にはその下腿三頭筋の拮抗するべく前脛骨筋も働いているのでそのパワーにも耐えないといけません。


シンプルに考えて距腿関節が耐えないといけないパワーは50kgの人が踵上げした場合、200kg以上の負荷に耐えないといけないわけです。


やばいですよね。



・関節や筋組織に対するメカニカルストレスを考えるならベクトルは絶対


先ほどお伝えした踵上げ時の距腿関節に対する負荷に対してちょこっと視点を変えると、下腿三頭筋が体重の3倍のパワーを出せないor出せても一瞬のパフォーマンスになってしまうとなると、、、、


距腿関節の痛みや下腿三頭筋の痛みにつながるのは分かると思います。



下腿三頭筋のパワーが足りなければ、負荷に耐えられずに肉離れが生じてしまったり距腿関節の炎症が生じます。


これが関節痛や筋組織損傷のメカニズムの一部です。


だからリハビリで運動療法が必要だと言われるわけです。

だから鍛えないといけないわけです。

そして、それらを客観的にかつ誰しもができるようにしようとまとめたのがMMTです。

踵上げなら25回をなんなくできるならMMT5と評価されますよね。

(ここでは代償動作はないものとします。実際の臨床ではめちゃくちゃ代償あります。基本的に代償抜きにすると25回もできる人はかなり少ないです。)




・膝が曲がるのはなにも意図的なものだけじゃない、ベクトルだって膝を曲げる



僕たちは立っているとき、当たり前のように膝を伸ばしています。

高齢者になると膝を少し曲げて立っている方が一定数いますよね。

なぜか考えたことがありますか?

大腿四頭筋の弱さが原因で膝関節を伸ばすことが出来ないというのもありますが、実は上半身の位置が問題で結果的に膝関節が曲がってしまうというのもあります。



せっかくなのでこれを読んでいるあなたもやってみてください。


のけぞってみてください。

その状態で膝を伸ばしていてください。

膝を伸ばしているのはつらいですか?楽ですか?


次に、お辞儀してください。

その状態で膝を曲げてください。

膝を曲げるのは辛いですか?楽ですか?



おそらくのけぞったときは膝を曲げている方が楽でしょうし、お辞儀をしたときは膝を伸ばしてるほうが膝自体は楽なはずです。(柔軟性は無視してください。)


これこそ、床反力によるベクトルが膝関節に働く作用の問題なのです。



ちなみに、高齢者がこのお辞儀をした時に結構な確率で床に手がぺたんとつく理由は、日常生活で日頃から膝を曲げずに腰を曲げて床のものを取る習慣があるせいです。


本当はしゃがむようにして物を取ることで腰の負担を軽減できるのですが、それをすると下肢筋力をかなり使うのできついんですよね。


それを避けるために高齢者はハムストリングスの硬さを使って上半身の重さを支えつつ、床のものを取る習慣があるわけです。


まぁ、続けるほどにどんどん筋肉は勝手にストレッチかかるので柔軟性だけ上がって筋力が備わっていないので支えられなくなってきて、腰痛がでたり腰部疾患に繋がるわけですが、、、、





いかがだったでしょうか。

モーメントやベクトルの話はちょっと難しいですが、理解が進むと一気に臨床での現象を理解しやすくなるのでぜひ参考にしてみてください!


それでは〜。








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