臨床で見たことがあるはずです。
もしくはあなた自身かもしれません。
前屈が硬い身体!
僕は自慢しますが、柔らかいです笑
手首くらいまでは余裕で地面を触れます。
今回のコラムでは、どうしようもないくらい前屈が硬い人に対する臨床上での考え方についてです!
本来前屈ができない要素は、足部・骨盤・脊柱など様々ありますが、今回は足部の問題は取り除き脊柱に注目してまとめさせていただきます!
あ、申し遅れました!運営の安齋です!
■前屈の阻害要因
脊柱の屈曲で可動域があるのは、 胸椎<腰椎<頸椎の順番で可動域は出やすいです。
前屈を獲得するためには、局所ごとに可動域を出すことも重要ですが、 総和的に脊柱がしなることが重要です。
総和的に動きを出す上で邪魔になりやすい2つの要素
SFBLの硬さ・固有感覚の問題
姿勢保持筋の弱さ
この2つの要素が邪魔をしてきます。
■SFBLと固有感覚
SFBL(スーパーファッシャルバックライン)の主たる役割は抗重力筋で構成されており、直立姿勢を維持することです。
また、矢状面上の屈曲運動制限の役割をします。

姿勢保持筋が集まる筋膜ラインのため、遅筋繊維がメインで構成されています。
当然ですが、姿勢保持をするのが役目なので持続力がないと意味がありませんからね。
加えて筋繊維が大きくありません。
細めで耐久力のある繊維です。
遅筋繊維が多いと言うことは、固有感覚が多く存在します。
固有感覚情報を受け取る受容器は筋紡錘とゴルジ腱器官があります。
それぞれの特徴は
筋紡錘⇨筋線維に対して並列、筋の長さや変化の速さを感知
ゴルジ腱器官⇨筋線維に対して直列、筋張力を感知
です。
関節内にある関節受容器は主に最終可動域で反応し、位置覚や運動覚にはほとんど貢献していないと言われています。
そのため、関節角度は主に皮膚感覚や固有感覚にて感知されています。
前屈運動が硬い人は、姿勢持筋緊張が高い可能性があります。
つまり、緊張が高いので皮膚感覚や固有感覚が乏しいので細やかなコントロールが効かないということです。
ちなみにですが、姿勢筋緊張は脳幹からのコントロールだけでなく、筋や皮膚などの末梢の受容器とのやり取りを通じて脊髄レベルでもコントロールされています。
つまり、脊髄反射におけるものなのです。
PDで姿勢反射障害が生じるのも一概に黒質の影響だけじゃないかもしれませんね。(黒質が大部分を占めるのは間違いないですが)
と、いうことは?
そうです。
どんなに徒手療法でほぐそうと、完全安静のみその効果を維持することができて、動けばすぐに元通りです。
臨床でよくある悲しい現実ですね。
■相反抑制を活用したアプローチ
脊髄反射レベルでで体を硬めている人に対して、動きを伴う可動域改善を狙った方が効果は出やすいですが、全体的にストレッチをかければ良いのか?と言われると違います。
脊髄反射レベルで緊張が高い場合は、防御性収縮が働き、緊張を高めやすくなります。
重要なのは、
『拮抗筋となる前面の筋肉(前鋸筋・外腹斜筋・腹横筋など)の筋活動を伴いながら、脊柱の総和的な屈曲を出すこと』
なので、
徒手療法よりも運動療法にて防御性収縮をコントロールしながら柔軟性を上げていく介入をしないといけないわけです。
運動療法の一例
・側臥位で芋虫のように丸まったり、縮こまったりする。
・立位でセラバンドを床につけるように押していく。
などが効果的です。
ここで気をつけたいのは普通の体幹トレーニングをしてしまうとかえってバックラインばかり使ってしまって、筋の硬さを強めてしまうので注意です!
■そもそも姿勢筋が弱すぎる問題
前屈が硬い人の単純な問題点として姿勢保持筋の筋力がそもそも弱いことが考えられます。
筋力が弱ければ、体が崩れないように、筋の張力で姿勢を保持しようとします。 常に抗重力筋が綱引き状態で頑張っているイメージです。
僕がよく臨床で患者さんに説明するときに使う言葉がですね、
「本来、数十個の筋肉たちで支えている身体を数個の筋肉で支えていて、残りの筋肉たちはサボってます。サボっている筋肉たちは動かないのでどんどん固まります。数個の筋肉たちは完全にキャパを超えているので伸び切ったまま動けなくなってます。」
です。
これをベースに伝わるように改良しながら患者さんに伝えています。
要は現代人はほぼみんな、全身の筋肉をちゃんと使えていないんですよ。
いかにして使えるようにするかが重要になります。
Comments